厚労省も見解、回収したARBの発がん性

 厚生労働省は10月5日、中国・Zhejiang Huahai Pharmaceuticalが製造した高血圧治療薬バルサルタン原薬の発がんリスクの程度について見解を発表した。原薬の製造過程で発がんリスクがあるとされるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が混入したことを受け、日本ではバルサルタンの後発医薬品バルサルタン錠「AA」の製造販売元であるあすか製薬が、昨年(2017年)9月に同製品の販売を中止し、今年7月に自主回収した。欧米の規制当局は、バルサルタンの後発医薬品投与例におけるがんリスクを発表したが、日本での評価結果は。

最大投与量を4年間毎日服用した場合の生涯リスクを算出

 発がん物質が検出されたのは、あくまでバルサルタン錠「AA」(20mg、40mg 、80mg 、160mg)の原薬のみであり、他のバルサルタン製品からは検出されていない。

 今回、厚労省が発表したのは、2018年度第8回医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下、調査会)で審議されたもので、①バルサルタン錠「AA」服用によるがん発症リスク②NDMA以外に原薬から新たに検出されたN-ニトロソジエチルアミン(NDEA)によるがん発症リスク③今後の対応―を公表した。これまで欧州医薬品庁(EMA)、米食品医薬品局(FDA)は、NDMAが混入したバルサルタンを高用量で投与した場合の発がんリスクの推定値を発表している。

 厚労省は①について、NDMA混入濃度が最も高い原薬から製造されたバルサルタン錠「AA」160mg(最大投与量)を販売期間の4年間毎日1錠服用した場合、生涯曝露による発がんリスクは1万5,000~3万人に1人と推定されたと報告した。

NDEAを合わせてもがんリスクへの影響は小さい

 今年9月、EMA、FDA、カナダ保健省はZhejiang Huahai Pharmaceuticalが製造したバルサルタン原薬の一部から、ヒトでの発がん性が指摘されているNDEAを新たに検出したと発表した。

 調査会は、あすか製薬に対しこれまで製造に使用した全ての原薬ロットについて、NDEAを分析するよう指示。その結果、同社が使用した原薬9ロット中5ロットからNDEA0.26~2.5ppmが検出された。この量はNDMAに比べて微量であり、②について調査会は、NDEAの含量を合算しても①で示した結果に影響するとは考え難いと結論した。

 さらに③の今後の対応については、あすか製薬から関係医療機関などに文書で周知するという。周知内容は以下の通り。

  • バルサルタン錠「AA」は今年8月21日に自主回収が終了しており、市場には流通していない
  • NDMAおよびNDEAが検出されたバルサルタン製剤は、バルサルタン錠「AA」のみ
  • バルサルタン錠「AA」160mg錠(最大用量)を販売期間の4年間毎日1錠服用したときの発がんリスクは、推定1万5,000~3万人に1人
  • 新たに検出されたNDEAは微量であり、発がんリスクの評価結果に影響するとは考え難い
  • 低用量のバルサルタン錠「AA」を服用しているまたは服用期間が短い場合は、リスクがより低くなる
  • 2014年6月~16年3月にバルサルタン錠「AA」を処方された患者は約1万9,000例

(田上玲子)

関連記事:バルサルタン製剤における発がん物質の検出に関する平成30年度第8回医薬品等安全対策部会安全対策調査会の審議結果について【厚生労働省】

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