がん免疫療法の効果に性差

Oncology Tribune

 イタリア・European Institute of OncologyのFabio Conforti氏らは、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体または両者)の有効性を検討するシステマチックレビューとメタ解析を実施。その結果、効果に性差が認められたとLancet Oncol(2018年5月16日オンライン版)に発表した。

女性患者の割合は33%と少ない
 Conforti氏らは、2017年11月30日までにPubMed、MEDLINE、Embase、Scopusに登録された研究と、2010年1月1日~17年11月30日に開催された主ながん関連学会(米国臨床腫瘍学会および欧州内科腫瘍学会を含む)の抄録から、免疫チェックポイント阻害薬(イピリムマブ、tremelimumab、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)の効果を対照群(プラセボまたは非免疫療法薬)と比較し、全生存のハザード比(HR)を男女別に算出した20件の第Ⅱ/Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)を抽出。計1万1,351例〔男性7,646例(67%)、女性3,705例(33%)〕の進行がんまたは転移がん患者を対象に、ランダム効果モデルによる解析に組み入れ、プールした全生存のHRを男女別に算出し、両者の異質性を交互作用検定で検討した。

 疾患の内訳は、黒色腫が3,632例(32%)と最も多く、次いで非小細胞肺がんが3,482例(31%)。対象の年齢中央値は56~66歳、追跡期間中央値は5.1~54カ月であった。

男性より小さい女性の死亡リスク低下効果
 解析の結果、男性では死亡リスクが対照群に比べ、免疫チェックポイント阻害薬群の有意に低下していた(プールした全生存のHR 0.72、95%CI 0.65~0.79)。女性では男性よりも、免疫チェックポイント阻害薬による死亡リスクの低減効果が小さかった(同0.86、95%CI 0.79~0.93)。対照群と比較した免疫チェックポイント阻害薬の効果には有意な性差が認められた(異質性のP=0.0019)。

 また、がんの種類、免疫チェックポイント阻害薬の種類、第一選択薬としての投与か否か、対照薬の種類で分類した各サブグループでの解析では、女性に比べて男性で免疫チェックポイント阻害薬による死亡リスクの低減効果が大きかったものの、有意ではなかった(異質性のP=0.40~0.77)。

女性患者の試験登録を増やすべき
 Conforti氏らは「性以外で免疫チェックポイント阻害薬の効果に影響を及ぼす可能性がある因子に性差が存在し、そのような因子が結果に影響を及ぼした可能性を排除できない」と研究の限界を指摘。その上で、「リスク・ベネフィット評価の際には、標準治療に対する抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体の相対的ベネフィットを予測する重要な因子として、患者の性を考慮すべきである。免疫チェックポイント阻害薬は男女を問わず全生存を有意に改善する可能性があるが、そのベネフィットの大きさには性差がある。今後の研究は女性の転帰改善に焦点を合わせるべきであり、場合によっては男女で異なる免疫療法のアプローチを検討する必要があるかもしれない。また、新たな免疫療法の試験を計画している研究者は、男性患者が主体の試験で得られた結果が女性患者に適用できない事態を回避するために、より多くの女性を試験に組み入れるべきである」と結論している。

性急な結論は避けるべきとの警告も
 エジプト・Ain Shams Universityおよびカナダ・University of CalgaryのOmar Abdel-Rahman氏は、同誌の付随論評(2018年5月16日オンライン版)で「Conforti氏らは多種多様な充実性腫瘍を解析に組み入れており、充実性腫瘍の種類ごとに性差を生じる可能性がある多数の背景因子が存在し、そのような背景因子が免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた患者の転帰に影響することが示されている。また、性差のある生活習慣・行動因子が交絡因子となる可能性もある」と指摘。「今回の研究は示唆に富む仮説生成型研究だが、性急に結論を出したり現在の免疫チェックポイント阻害薬の適応基準を変更したりせずに慎重に検討する必要がある。免疫チェックポイント阻害薬の適応となる女性患者を、今回の結果のみに基づいて治療対象から除外すべきではない。免疫チェックポイント阻害薬による効果の性差に関する最終判断を下すには、今後さらに交絡因子を徹底的に調整した疾患別の前向き研究を行う必要がある」と述べている。

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