小児期のCT検査で脳腫瘍リスクが上昇

オランダ・16万人の後ろ向きコホート研究

 オランダがん研究所のJ. M. Meulepas氏らは、小児期にCT検査を受けた約16万人の後ろ向きコホート研究の結果、追跡終了時に脳の平均累積吸収線量が38.5mGyに達しており、脳腫瘍リスクが上昇することが示されたとJ Natl Cancer Inst2018年7月18日オンライン版)に発表した。一方、骨髄の累積吸収線量は比較的少なく、CT関連放射線被曝と白血病との関連は認められなかった(関連記事「小児期のCT検査で白血病,脳腫瘍リスク上昇」)。

小児期のCT検査後のリスクを評価

 過去20年間でCTの使用件数が劇的に増加し、特に小児に対する放射線防護が課題となっている。CT検査は診断能を向上させ臨床転帰を大幅に改善するが、他の検査よりも放射線被曝線量が高い。また、小児は成人よりも被曝線量が高くなる可能性があり、放射線関連腫瘍を発症しやすく、潜在的リスクの影響を受ける期間も長い。

 Meulepas氏らは全国規模の後ろ向きコホート研究を実施し、小児期のCT検査による低線量電離放射線被曝後が白血病および脳腫瘍リスクに及ぼす影響を検討した。

 1979~2012年にオランダ国内の病院で1回以上CT検査を受けた18歳未満の16万8,394例を対象に、外部レジストリとの記録連動によりがん発症、生存状態および交絡因子の情報を得た。同国では小児CT検査は病院でのみ行われており、今回は病院の放射線科を全数調査した。標準化罹患比は、同国の一般人口におけるがん発症率を用いて推算。臓器線量100mGy当たりの過剰相対リスク(ERR)は、ポアソン回帰モデルを用いて推算した。

交絡因子の影響を含めて解釈を

 検討の結果、標準化罹患比は全てのがん種で上昇していた。

 追跡終了時、骨髄の累積吸収線量は平均9.5mGyと少なく、CT検査と白血病リスク(骨髄異形成症候群を除く)との関連は認められなかった。

 脳の累積吸収線量は平均38.5mGyで、良性と悪性を合わせた全脳腫瘍リスクと有意に関連していた(100mGy当たりのERR 0.86、95%CI 0.20~2.22、P=0.002)。全ての脳腫瘍を含めた場合および良性と悪性を分けた場合、脳の吸収線量に線量反応関係が認められた。結節性硬化症症例を除いてもリスクに大きな変化は見られなかった。

 以上の結果から、Meulepas氏らは「小児期のCT関連放射線被曝は、脳腫瘍リスクを上昇させることが示された。一般人口に比べて、CT検査を受けた小児集団における脳腫瘍発症率の上昇に関する解釈には注意を要する。このがんリスクの上昇は、部分的には検査理由となった腫瘍の交絡因子による影響かもしれない。腫瘍の診断目的で行うCT検査はがんリスクの上昇に関連し、小児CT検査を受けた理由が、がん発症リスクに関連する可能性がある」と指摘している。

 同研究の主任研究者で同研究所のMichael Hauptmann氏は「低線量の医療放射線によるがんリスクの疫学研究は困難であるが、われわれの慎重なデータの評価と他の研究から得られたエビデンスにより、CT関連放射線被曝で脳腫瘍リスクが上昇することが示唆された。多くの病院で行われているように、リスクを最小限にするため、小児のCT検査と線量最適化の科学的根拠を慎重に示すことが不可欠である」と述べている。

(坂田真子)

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