BRCA1/2陽性進行乳がんに有効な新規PARP阻害薬

talazoparibの第Ⅲ相ランダム化比較試験

 ポリ(ADP-リボース)合成酵素(PARP)阻害薬talazoparibは、BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行乳がん患者において、標準的な化学療法と比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。米・University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJennifer K. Litton氏らは、オープンラベル第Ⅲ相ランダム化比較試験EMBRACAの結果をN Engl J Med2018年8月15日オンライン版)で発表した。

既治療の進行乳がん患者でPFSを有意に延長

 Talazoparibは前臨床試験において、PARP酵素を阻害するだけでなく、DNA上のPARPを捕捉する能力が他のPARP阻害薬よりも高いことが示されており、第I相試験、第Ⅱ相試験で有望な結果が報告されている。

 Litton氏らは、BRCA1/2遺伝子変異陽性の局所進行または転移乳がん患者を対象に、talazoparibと主治医が選択した標準的な化学療法の有効性と安全性を比較するオープンラベル第Ⅲ相ランダム化比較試験EMBRACAを実施した。

 2013年10月~17年4月に16カ国145施設で登録された患者431例を有効性解析〔intention-to-treat(ITT)〕の対象とし、talazoparib 1mgを1日1回経口投与する群(287例、talazoparib群)と標準治療群(144例)に2:1でランダムに割り付けた。標準治療群では、プロトコルで定めた化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビン)から治療法を選択し、21日を1サイクルとして投与した。増悪、忍容できない毒性の発現、同意の撤回、主治医による治療終了の判断のいずれかまで治療を継続した。標準治療群からtalazoparib群へのクロスオーバーは不可とした。

 適格基準は、殺細胞性抗がん薬による前治療は3レジメン以下とし、プラチナ製剤を用いた術前・術後補助化学療法の治療歴は許容したが、最終投与からの無病期間が6カ月以上あることとした。進行病変に対するプラチナ製剤投与中に増悪を認めた患者は除外した。またホルモン受容体陽性乳がんに対する内分泌療法のレジメン数は制限しなかった。

 主要評価項目は画像診断に基づくPFSで、盲検下の独立中央判定委員会により評価された。副次評価項目は、全生存期間(OS)、奏効率、24週時点における臨床的有効率(CBR)、奏効期間が含まれた。患者報告アウトカムの評価も行い、QOL尺度であるEORTC QLQ-C30と乳がんに特化したEORTC QLQ-BR23を用いた。

 中央値11.2カ月の追跡期間中に、269件の増悪または死亡が発生した。PFS中央値は、標準治療群の5.6カ月(95%CI 4.2~6.7カ月)に対し、talazoparib群では8.6カ月(同7.2~9.3カ月)と有意に延長した(ハザード比0.54、95%CI 0.41~0.71、P<0.001)。1年時点において、標準治療群の20%、talazoaprib群の37%で増悪や死亡が認められなれかった。PFSのサブグループ解析では、プラチナ製剤による治療歴がある患者を除き、いずれもtalazoparib群で優れていた。

 OSの中間解析では、OS中央値は標準治療群19.5カ月、talazoparib群22.3カ月で、ハザード比は0.76(95%CI 0.55~1.06、P=0.11)だった。

 奏効率は、標準治療群27.2%、talazoparib群62.6%で、オッズ比は5.0(95%CI 2.9~8.8%、P<0.001)、完全奏効はtalazoparib群の5.5%で得られた。また24週時点でのCBRは、標準治療群36.1%、talazoparib群68.6%で、奏効期間中央値はそれぞれ3.1カ月、5.4カ月だった。

Talazoparib群は副作用プロファイルも良好

 安全性については、グレード3~4の血液毒性はtalazoparib群の55%、標準治療群の38%で発生し、グレード3の非血液毒性はそれぞれ32%、38%だった。投与中止に至った有害事象は、talazoparib群の5.9%、標準治療群の8.7%で発生した。試験治療薬に関連する重篤な有害事象は、talazoparib群の9.1%、標準治療群の8.7%で発生し、最も多かったのは、talazoparib群では貧血、標準治療群では好中球減少症だった。

 患者報告アウトカムもtalazoparib群で優れる結果となった。EORTC QLQ-C30の全般的健康とEORTC QLQ-BR23の乳がんによる症状の評価から、talazoparib群は標準治療群と比べて、QOL全体を有意に改善し、臨床的に重要な悪化までの期間を延長することが示された。

 以上の結果から、Litton氏らは「talazoparibは、標準的な化学療法と比べてPFSを有意に延長した。治療に関連する骨髄毒性は用量の調節や投与を遅らせることで管理可能であり、患者報告アウトカムの改善から同薬の副作用プロファイルが良好であることが示された」としている。

(森下紀代美)

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