乳がんの治療費用、事前相談はまれ

実際には「相談したい」

 米国ではがん治療にかかる費用の上昇が多くの患者を苦しめている。米・Duke University Medical CenterのRachel A. Greenup氏らは、乳がんを経験した女性を対象にアンケートを実施。多くの乳がん女性が医療費を大きな負担と感じ、治療開始前に費用について相談したいと考えているものの、実際に医師と相談する女性は少ないとの結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO)高品質ケアシンポジウム(9月28~29日、フェニックス)で発表した。

費用に関する情報も必要

 今回の研究の背景について、Greenup氏「がんの治療費が上昇している現代において、われわれは、これからがん治療を始めようとしている女性にとって費用がどのような意味を持つかについて日常的に議論していない」と指摘。「乳がんの多くの治療選択肢は有効性の点でほとんど差はないが、費用には差が見られる。女性が治療選択肢を検討する際、費用に関する情報が得られれば、自分に適した治療法を選ぶ助けになる可能性がある」と述べた。

 今回の研究では、乳がん(ステージ0〜Ⅲ)を経験した女性607例に乳がんの治療費と費用の透明性について訊ねる88項目から成るウェブアンケートに回答してもらった。対象のほとんどは民間の保険(70%)かメディケア(25%)に加入し、米国の一般人口より年間世帯収入が高かった(7万4,000ドル以上)。

78%は医師と費用について話さず

 対象の43%が「治療法を決める際に費用を考慮した」と回答し、40%は「医師は治療方針を勧める際に費用も考慮に入れて欲しい」と回答した。対象の79%が「治療を始める前に費用について理解したい」と回答した一方で、78%は担当医師と一度も費用について話し合っていなかった。

 今回の調査では、治療費の経済的負担の大きさについても、「なかった」「わずかだった」「ある程度あった」「大きかった」「非常に大きかった」の5段階で回答してもらった。対象の約15%が経済的負担は「大きかった」または「非常に大きかった」と回答した。自己負担額の中央値は3,500ドルで、8,000ドル以上が25%、1万8,000ドル以上が10%、3万ドル以上が5%を占めた。

 乳房全摘などより広範な手術を受けた女性と乳がんのステージが高かった女性では、経済的負担を訴える傾向が高かった。反対に、より高齢の女性、乳がんの診断から時間が経過している女性、世帯収入が高い女性、保険の自己負担率が低い女性では、経済的負担を訴える割合が低かった。

費用問題を提起する患者は経済的に脆弱な可能性

 医師と費用について話し合った女性は経済的負担の大きさを訴える率も高く、Greenup氏らによると、費用の問題を積極的に提起する患者はそれだけ経済的に脆弱な状態にあるためと考えられる。医師と費用について話し合ったと回答した女性(16%)は、話さなかったと回答した女性と比べ、乳がんのステージがⅡまたはⅢである割合が高く(56% vs. 40%)、うつの割合が低く(24% vs. 30%)、保険の自己負担率が高かった。

 今回の研究の限界は、調査に参加した女性のほとんどは十分な保険に加入しており、学歴が高く、白人であったことだという。同氏は「これらを考慮すると、米国の一般的な乳がん女性は、今回の調査対象よりも大きな経済的負担を負っている可能性が高い」と述べている。

(谷本真幸)

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