食道温存を希望する患者の予後を改善

Ⅱ/Ⅲ期の食道がんに根治的化学放射線療法±救済治療が有用

 Ⅱ/Ⅲ期の食道がんで食道温存を希望する患者を対象に、根治的化学放射線療法を先行し、救済治療として内視鏡治療または外科切除術を行う治療法を評価した検証的非ランダム化試験JCOG0909から、有害事象の低減と予後の改善が期待できる結果が示された。昭和大学放射線治療学部門准教授の伊藤芳紀氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、シカゴ)で報告した。

3年全生存率が7割超に上昇

 Ⅱ/Ⅲ期の食道がんで外科切除術を望まない患者に対し、日本ではJCOG9906試験の結果に基づき、フルオロウラシル(5-FU)、シスプラチン、総線量60Gyの放射線療法を併用する化学放射線療法が行われている。しかし、同試験の3年全生存(OS)率は45%にとどまり、晩期毒性としてグレード3/4の胸水貯留が9%、心囊液貯留が16%、肺臓炎が4%で発現した(Int J Radiat Oncol Biol Phys 2011; 81: 684-690)。救済治療の外科切除術では、重度の合併症リスクも課題となる。

 根治的化学放射線療法施行後、がんの遺残や局所再発が認められた患者では、内視鏡治療または外科切除術による救済治療が唯一の根治療法である。JCOG0909試験は、救済治療を含めた治療戦略により、化学放射線療法の有害事象を減らし、予後を改善することを目的として実施された。

 同試験の対象は、組織学的に確認された食道の扁平上皮がん、腺扁平上皮がん、類基底細胞がんのいずれかで、食道病変が全て胸部食道内に限局し、臨床病期はⅡまたはT4を除くⅢ〔国際対がん連合(UICC)TNM分類第6版〕とした。適格基準にはECOG PSが0/1、食道がんに対する治療歴がない、初回治療で外科切除術を希望していないことも含まれた。

 根治的化学放射線療法では、シスプラチン75mg/m2を1日目と29日目に、5-FU 1,000mg/m2を1~4日目と29~32日目に投与した。放射線療法は、JCOG9906試験で報告された有害事象および外科切除術のリスクを軽減するため、1回線量を1.8Gy、総線量を50.4Gyとした。予防的リンパ節照射は41.4Gyで行った。根治的化学放射線療法の施行で良好な部分奏効(good PR)以上の効果が得られた患者では、さらに化学療法を1~2サイクル追加した。がんの遺残または再発が認められた患者では、あらかじめ定めた基準に基づき、救済治療として内視鏡治療または外科切除術を行った。主要評価項目は3年OS率だった。

 2010年4月~14年8月に96例を登録、うち94例が根治的化学放射線療法を受け、有効性の解析対象となった。対象の内訳は男性は84例、女性は10例、年齢中央値は63歳(範囲48~75歳)、臨床病期はⅡA、ⅡB、Ⅲがそれぞれ22例、38例、34例だった。

 3年OS率は74.2%(90%CI 65.9~80.8%)で、JCOG9906試験に比べ改善が見られた()。また、3年無増悪生存(PFS)率は57.0%(95%CI 46.3~66.3%)、完全奏効(CR)は55例(58.5%)で得られた。3年食道温存生存率は63.6%(95%CI 52.9~72.4%)であった。

図.全生存率(94例)

(伊藤芳紀氏提供)

 化学放射線療法の急性期に多く観察されたグレード3/4の有害事象は、白血球減少症が64.9%、好中球減少症が55.3%、食道炎が19.1%、食欲不振が18.1%、血小板減少症が12.8%などであった。晩期に多く観察されたグレード3/4の有害事象は、食道炎が3.2%、呼吸困難が3.2%、胸水貯留が3.2%などだった。

 救済治療として、内視鏡治療が5例(5%)、外科切除術が25例(27%)で施行され、外科切除術では19例(76%)でR0切除が行われた。外科切除術を受けた患者の1年OS率は72.0%で、R0切除例では84.2%であった。一方、R1またはR2切除例の1年OS率は33.3%だった。

 救済治療としての内視鏡治療による合併症は発生しなかった。外科切除術では、術後にグレード3/4の縫合不全が4.0%、肺炎が4.0%、消化管出血が4.0%で発生した。治療関連死は1例(4%)で発生し、気管支―肺動脈の瘻孔による死亡だった。

(編集部)

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