Ⅲ期治癒切除胃がんの術後療法はS-1+ドセタキセルが有効

JACCRO GC-07試験で明らかに

  Ⅲ期で治癒切除が行われた胃がんに対し、術後療法として標準治療であるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合(S-1)単独投与を行う群と、S-1+ドセタキセル併用療法を行う群を比較した第Ⅲ相ランダム化比較試験JACCRO GC-07の結果で、ドセタキセルの併用により3年無再発生存(RFS)率が有意に延長することが示された。名古屋大学病院消化器外科2教授/診療科長の小寺泰弘氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、シカゴ)で報告した。

無再発生存期間でS-1単独療法を上回る

 Ⅱ/Ⅲ期胃がんに対するS-1の優越性を証明したACTS-GC試験により、日本ではS-1単独療法が術後の標準治療に位置付けられた。ただし、同試験のサブグループ解析では、Ⅱ期からⅢ期に進行すると成績が不良となることも示された。小寺氏は「Ⅲ期の胃がん患者ではより強力な術後療法が必要と考えられ、S-1とプラチナ製剤による併用療法の可能性が検討されたが、当時日本で使用可能なプラチナ製剤はシスプラチンしかなく、胃切除後の患者には毒性が強過ぎた」と説明。

 その後、切除不能・進行胃がん患者を対象としたJACCRO GC-03試験により、S-1+ドセタキセル併用療法は、S-1単独療法よりも全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を延長することが示された。これらの知見から、JACCRO GC-07試験では、Ⅲ期の胃がんに対する術後療法において、S-1単独療法に対するS-1+ドセタキセル併用療法の優越性を検証した。

 同試験の開始後、韓国を中心に行われたCLASSIC試験で、Ⅱ/Ⅲ期の胃がんに対する術後療法として、カペシタビン+オキサリプラチン併用療法(CapeOX療法)の有効性が報告された。CapeOX療法の有効性はS-1単独療法と同等とみられ、S-1+ドセタキセル併用療法の有効性はS-1単独療法を上回ると考えられることから、JACCRO GC-07試験は継続されることとなった。S-1単独療法とCapeOX療法は、いずれも『胃癌治療ガイドライン 2018年1月改訂 第5版』で標準治療に位置付けられている。

 JACCRO GC-07試験の組み入れ基準は、組織学的に確認されたⅢA、ⅢB、ⅢC期の胃がんで、D2郭清とR0切除が行われ、腹腔洗浄細胞診でがん細胞が認められず、術後42日以内に化学療法が開始できる患者とされた。同試験には国内の138施設が参加し、S-1単独療法を行う群(S-1単独療法群)に459例、S-1+ドセタキセル併用療法を行う群(S-1+ドセタキセル併用群)に456例をランダムに割り付けた。両群の患者背景は同様だった。

 術後療法として、S-1単独療法群ではS-1 80mg/m2を28日間連続投与した後、14日間休薬を1サイクルとして投与開始から1年後まで繰り返した。一方、S-1+ドセタキセル併用群では、1サイクル目はS-1 80mg/m2を14日間連続投与した後、7日間休薬し、2~7サイクル目はドセタキセル40mg/m2を3週間に1回、1日目に投与し、S-1は1サイクル目と同様に投与した。8サイクル目以降は、S-1 80mg/m2を28日間連続投与した後、14日間休薬を1サイクルとして投与開始から1年後まで繰り返した。主要評価項目は3年RFS率とした。

 同試験は、予定されていた2回目の中間解析でS-1+ドセタキセル併用群の優越性が明らかになり、効果安全性評価委員会により有効中止が勧告された。この解析における追跡期間中央値は12.5カ月、3年RFS率はS-1単独療法群で49.5%、S-1+ドセタキセル併用群で65.9%、ハザード比は0.632(99.99%CI 0.400~0.998、P=0.0007)であった(図)。進行度別に見ても、RFS率はS-1+ドセタキセル併用群で良好で、ハザード比はⅢA期で0.524(95%CI 0.285~0.966、P=0.0351)、ⅢB期で0.614(同0.382~0.989、P=0.0427)、ⅢC期で0.693(同0.466~1.03、P=0.0677)だった。

図.無再発生存期間(intention-to-treat解析対象集団)

(ASCO2018発表データを基に編集部作成)

 RFSのサブグループ解析では、N1の患者を除き、全てS-1+ドセタキセル併用群で優れていた。OSの評価は、データ解析には時期尚早として、追跡が継続されている。

 S-1+ドセタキセル併用群では、特にリンパ節と血行性の転移が抑制されることも示された。最初の再発部位は、S-1単独療法群では局所が0.4%、リンパ節が11.3%、腹膜が12.9%、血行性が9.8%だったのに対し、S-1+ドセタキセル併用群ではそれぞれ0.4%、4.8%、9.3%、5.3%であった。

 安全性については、S-1単独療法群で治療関連死が1例発生した。S-1+ドセタキセル併用群では、S-1単独療法群と比べてグレード3/4の好中球減少症、白血球減少症、発熱性好中球減少症などが多く発現したが、いずれも管理可能だった。

 同氏は「Ⅲ期の胃がん患者に対し、S-1とドセタキセルの併用療法は有効で、安全性に関する懸念はほとんど示されなかった」と述べた。

(編集部)

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