閉経後出血例の子宮内膜がんリスクは9%

観察研究129件4万例をメタ解析

 閉経後の不正出血は子宮内膜がんの一般的症状だが、良性疾患でもしばしば見られる。米国立がん研究所のMegan A. Clarke氏らは、観察研究129件4万例をメタ解析した結果、子宮内膜がん患者の90%に閉経後出血が見られたものの、閉経後出血を有する患者が子宮内膜がんと診断されるリスクは9%にすぎなかったとJAMA Intern Med2018年8月6日オンライン版)で報告した。

高い肥満率を背景に増加傾向

 子宮内膜がんは先進国における婦人科がんで最も多く、世界の女性ではがんの約5%、がん死亡の2%以上を占める。北米や欧州の一部では他の先進国よりも罹患率が高く、その背景に高齢、未経産、閉経後エストロゲン療法の他、高い肥満率の影響が考えられている。今後も患者の増加が予測される中、高リスク例の早期発見と予防戦略の評価に関心が集まっている。

 今回Clarke氏らは、1977年1月~2017年1月に掲載された子宮内膜がんと閉経後出血に関する英語論文を検索し、システマチックレビューとメタ解析を行った。ランダムに抽出した25例以上の集団が対象の観察研究データを統合し、①子宮内膜がん患者の閉経後出血頻度②閉経後出血患者の子宮内膜がんリスク―を推定した。

ホルモン療法や地理的地域も影響

 子宮内膜がんと閉経後出血に関する研究2,398件のうち基準を満たした研究129件の閉経後出血3万4,432例と子宮内膜がん6,358例、計4万790例を対象に解析を行った。129件中21件(日本の3件を含む。子宮内膜がん3,792例のうち3,257例が閉経後出血を有する)で子宮内膜がん患者の閉経後出血頻度の解析を、92件(閉経後出血3万1,220例のうち2,611例が子宮内膜がんを有する)で閉経後出血患者の子宮内膜がんリスクを解析した。1件では両方の解析が行われた(閉経後出血と子宮内膜がん各45例が重複)。ほとんどが断面研究で、欧州の研究が4割近くを占めた。

 解析の結果、子宮内膜がん患者における閉経後出血の統合頻度は90%(95%CI 84~94%)で研究間の差が顕著だった(τ2=1.14)。異常値を除外後の統合頻度は91%(95%CI 87~93%)とほぼ同等であったが、研究間の差は大きく減少した(τ2 =0.47)。そこで、その後の解析からは異常値を有する研究を除外した結果、腫瘍の病期にかかわらず、子宮内膜がん患者の閉経後出血頻度はほぼ同等であった。

 一方、92件の研究の閉経後出血患者における子宮内膜がんリスクは0~48%と幅があり、統合リスクは9%(95%CI 8~11%)と推定され、研究間に中程度の差が認められた(τ2 =0.56)。また子宮内膜がんリスクは、ホルモン療法例を除外した研究では12%(95%CI 9~15%、τ2=0.64)とホルモン療法例を含めた研究の7%(同6~9%、0.38)に比べて有意に上昇した(異質性のP<0.001)。

 閉経後出血患者における子宮内膜がんリスクは、地理的地域によっても異なっていた〔北米5%(95%CI 3~11%)、西欧13%(同9~19%)、異質性のP=0.09〕。

早期発見のマーカー開発が必要

 以上の結果から、Clarke氏らは「閉経後の不正出血を早期発見することで、子宮内膜がんの90%を発見する可能性があるが、閉経後出血患者の大半で子宮内膜がんが診断されない。閉経後出血の全例に経腟超音波断層法(TVUS)または生検を行うことは患者にとって肉体的にも経済的にも大きな負担になる。低リスク患者において不要な生検を回避するために、子宮内膜がんを早期に発見できる特異性の高い検査を開発する必要がある。今回得られた結果は、子宮内膜がんの新たなマーカーが開発され、閉経後出血の新たな臨床管理法の臨床的価値を評価する際に用いることができる。また、臨床および疫学リスク予測モデルを用いて臨床的意思決定を行う際のデータとなる」と述べている。

 米・Women and Infants HospitalのKristen A. Matteson氏らは同誌の付随論評(2018年8月6日オンライン版)の中で、「進行期まで無症候性である多くのがん種とは異なり、子宮内膜がんは早期に9割が閉経後出血を伴う。米国産科婦人科学会は閉経後出血を迅速に評価することを推奨している。一方、閉経後出血のリスクは患者に適切に伝えられる必要がある。Clarke氏らの研究結果は、患者カウンセリングを支援し、子宮内膜がん診断における新戦略の有効性評価を促進させるだろう」とコメントしている。

(坂田真子)

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