HPV検査単独で前がん病変リスク低下

子宮頸がん検診・HPV検査単独と細胞診併用を比較したRCT

 
 カナダ・University of British ColumbiaのGina S. Ogilvie氏らは、子宮頸がん検診におけるヒトパピローマウイルス(HPV)検査単独と液状化検体細胞診(細胞診)にHPV検査を併用した場合のスクリーニング効果をランダム化比較試験(RCT)HPV FOCALで検討。その結果、HPV検査単独の方が48カ月後の前がん病変発症リスクが低かったとJAMA2018; 320: 43-52)に報告した。(関連記事「子宮頸がん検診、日本はもはや完全に後進国!?」「米・子宮頸がんスクリーニング勧告の改訂案を公表」)

4年後のCIN3+のリスクはHPV検査単独で0.4倍

 先進諸国では、HPV検査単独による子宮頸がんスクリーニング採用の動きが広まっているが、北米においてHPV検査単独と細胞診を併用した場合のスクリーニング効果を比較したデータは限られている。

 Ogilvie氏らは、2008~12年にカナダ・ブリティッシュコロンビア州で子宮頸がんスクリーニングプログラムを受けた者のうち、過去5年に子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類で中等度異形成以上(CIN2+)の既往歴、浸潤性子宮頸がん歴や子宮全摘出術歴、過去12カ月以内の細胞診歴、免疫抑制療法による治療歴などがない25~65歳の1万9,009例(平均年齢45歳)を登録、HPV検査のみを行う単独群に9,552例、HPV検査と細胞診を行う併用群に9,457例を割り付けた。 

 単独群では①HPV陰性例は48カ月後にHPV検査と細胞診の両検査を実施②HPV陽性例は細胞診を行い、陰性であれば12カ月後に両検査を再施行し、いずれかが陽性であれば組織診を実施、いずれも陰性であれば48カ月後に再度両検査を行った。併用群では細胞診が陰性であれば24カ月後に細胞診を行い、その結果が陰性であれば48カ月後に両検査を再実施した。48カ月後までに組織診で確認された高度異形成・上皮内がん以上〔CIN分類でグレード3以上(CIN3+)〕の累積発症率を比べた。ベースラインで細胞診異形成疑いの場合は、即座に組織診と管理を行った。

 主要評価項目はCIN3+の累積発症率、副次評価項目はCIN2+の累積発症率とし、2016年まで追跡した。

 試験を完了したのは1万6,374例〔単独群8,296例(86.9%)、併用群8,078例(85.4%)〕。

 解析の結果、48カ月後のCIN3+の1,000人当たりの累積発症率は、併用群に比べて単独群で有意に低下した(5.5 vs. 2.3リスク比0.42、95%CI 0.25~0.69)。CIN2+についても結果はほぼ同様であった。

ベースラインで細胞診陰性は2年後、HPV陰性より高リスク

 また、ベースラインで細胞診陰性例では、HPV陰性例と比べて48カ月後のCIN3+発症リスクが有意に高かった(1,000当たりの発症率1.4、リスク比0.25、95%CI 0.13~0.48)であった。

 HPV検査の導入では、CIN2+検出の特異度が低く、より多くの組織診(コルポスコピー)が必要になることが懸念されているが、同研究ではベースラインのスクリーニングでは組織診の実施率が高く、2回目以降は低下した。

米国ではHPV単独検査の導入に足踏みも

 以上のように、一次HPV検査の単独施行は、細胞診の併用に比べ48カ月後の前がん病変リスクを低減させた。Ogilvie氏らは「長期的な成果、費用効果についてさらなる研究が必要だ」としている。

 米国がん協会(ACS)は、2012年に30~65歳の女性について5年ごとのHPV検査と細胞診の併用を承認。2017年には米国予防医学専門委員会が、21~29歳の女性では3年ごとの細胞診、30~65歳では3年ごとの細胞診または5年ごとのHPV検査単独を推奨する草案を作成しているが、いまだ最終声明の発表に至っていない。

 Washington University in St. LouisのL. Stewart Massad氏は同誌の付随論評(2018; 320: 35-37)で「細胞診の追加によって、スクリーニングの精度はわずかしか向上せず、コストは増加する」と指摘。また「近い将来、予防ワクチンの普及によりHPV罹患率が低下し、検査の併用によるわずかな感度の向上は無意味になるだろう。それまで臨床医は、モデリングと費用効果の研究に基づき、いずれかを選択する必要がある」と述べている。

(木下愛美)

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