米・子宮頸がん減少、口腔咽頭がん増加

HPVワクチン接種率は増加

 ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部および口腔咽頭、外陰部、腟、陰茎、肛門などのがんの原因となることは知られている。米疾病対策センター(CDC)は、HPVワクチン接種がHPV関連がんに及ぼす影響についての2件の調査結果をMorb Mortal Wkly RepMMWR)に発表。「HPVワクチン接種率は上昇し子宮頸がんは減少したが、口腔咽頭がんは増加した。関連するがんの予防にHPVワクチンの接種が役に立つ」とし、あらためてワクチン接種の重要性について呼びかけた。(関連記事:「米・HPV関連がん撲滅に向けて共同声明」)

都市部に比べ農村部で接種率低い

 今回の報告によると、2017年における米国内の青少年(13〜17歳)のHPVワクチン接種状況は、65.5%(前年比5.1ポイント増)が初回接種を受け、48.6%(同5.2ポイント増)が推奨用量のワクチン接種を終了していた(MMWR 2018; 67: 909-917)。CDCのRobert R. Redfield氏は「HPVワクチンの接種がHPV関連がんの発症を予防するための最良の方法である。予防接種は子宮頸がん根絶の鍵であり、多くの保護者がこの重要なツールを利用していることをうれしく思う」と述べている。

 HPVワクチンの接種率は上昇しているが、多くの青少年がHPVおよび髄膜炎菌結合型ワクチンの推奨用量の接種を完了していないため、CDCでは「改善の余地がある」としている。今回の報告では、青少年の51%がHPVワクチン接種シリーズを完了しておらず、56%はHPVおよび髄膜炎菌結合型ワクチンの両方の接種を受けていないことが示された。

 また、都市部に比べて農村部ではHPVおよび髄膜炎菌複合ワクチンの接種を受けている青少年が少なかった。CDCのNancy Messonnier氏は「農村部の一部の医師にとって推奨ワクチン全てを入手するのが困難なことは理解しているが、患者を他の医療機関に紹介することによって患者の健康に重要な役割を果たすことができる」と述べている。

髄膜炎、HPV、三種混合ワクチンの接種を推奨

 CDCでは毎年のインフルエンザワクチンに加えて、全ての13歳未満の小児に①髄膜炎予防のための髄膜炎菌結合型ワクチン②HPV関連がん予防のためのHPVワクチン③百日咳予防のためのTdap(破傷風・ジフテリア・百日咳の三種混合ワクチン)−の3種のワクチン接種を推奨している。

 もう1件の報告では、現在米国で最も一般的なHPV関連がんは口腔咽頭がんであることが分かった(MMWR 2018; 67: 918-924)。CDCがHPV関連がん発生率の変化や傾向を評価するため、1999〜2015年のがん登録データ(米国人口の97.8%をカバー)を解析したところ、新規HPV関連がんは1999年に3万115例、2015年には4万3,371例が報告されていた。

 1999〜2015年で年間のHPV関連がんの年平均変化率(AAPC)は子宮頸がんで−1.6%、腟扁平上皮がんで−0.6%と低下していた。しかし、口腔咽頭がん(男性2.7%、女性0.8%)、肛門がん(同2.1%、2.9%)、外陰部がん(1.3%)は増加しており、陰茎がんは変わらなかった。追加解析では、HPVはこれらのがんの毎年3万3,700例(79%)の発生に関連すると推定された。

ワクチン接種でHPV関連がんの90%が予防可能

 CDCは「HPVワクチン接種により、米国で1年間に発生するHPV関連がんのうち3万1,200例(90%)の予防が可能である」としている。米国ではHPVワクチンが導入されて10年超になるが、その間にHPV感染や子宮頸部の異形成(前がん病変)が大幅に減少した。

 HPV感染により関連がんが発生するまでの期間は長いため、HPV関連がんに対するワクチン接種の影響を評価するには数十年かかると思われる。その点を踏まえた上でCDCは「今回の2件の報告は保護者、臨床医にHPV感染によって引き起こされるがん、百日咳、髄膜炎に対する確実な予防接種を促すのに役立つ」としている。

(慶野 永)

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