CAR-T細胞療法、小児向け管理指針を作成

 米・University of Texas MD Anderson Cancer Center とPediatric Acute Lung Injury and Sepsis Investigators(PALISI)Networkのグループは、キメラ抗原受容体発現T(CAR-T)細胞療法を受ける小児患者の管理ガイドライン(GL)をNat Rev Clin Oncol(2018年8月6日オンライン版)に発表した。米国で同療法が小児および若年成人のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者に対する治療法として初めて承認されてから約1年が経過したが、高い寛解率が得られている一方で、サイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性が問題となっていた。今回発表されたGLには、こうした毒性の管理を中心とした推奨項目がまとめられた。

急速な心肺機能低下や神経症状増悪の可能性も

 CAR-T細胞療法は、患者の血液から免疫細胞の一種であるT細胞を採取し、がん細胞の表面に発現する抗原を標的として認識するように遺伝子を改変して患者の体内に戻すという治療法。米国では昨年(2017年)8月30日、難治性または2回以上の再発を認めるB細胞性ALLの小児および25歳以下の若年成人患者に対する治療法として初めて承認された。現在、小児や若年成人のALL以外のがんに対しても、同療法の適応拡大に向けた研究が進行中である。

 今回のGLの筆頭著者で同センターのKris M. Mahadeo氏によると、小児や若年成人のALL患者に対するCAR-T細胞療法の奏効率は「驚くべき高さ」だという。その一方で、同療法に特有の重篤な毒性も生じうることが明らかになっている。その代表的なものが、CRSやCAR-T細胞療法関連脳症症候群(CRES)である。

 同氏は「こうした毒性が原因で急速な心肺機能の低下や神経症状の増悪がもたらされる可能性もある」と説明。その上で、「この新たな治療法を実施する場合には、最善の患者予後を得るために、さまざまな領域の専門家で構成された集学的チームによる管理と診療のためのインフラが必要だ」と述べている。

小児患者では親や介護者の「気付き」も重要

 今回のGLは、同センターで実施されているCAR-T細胞療法に関連した毒性の管理プログラム〔CAR-T-cell-therapy-associated Toxicity(CARTOX)program〕とPALISIの造血幹細胞移植のグループが合同で作成。作成メンバーの専門は小児集中治療や薬学、神経学、免疫学に関するトランスレーショナルリサーチなど多岐にわたった。

 CARTOXのグループは昨年9月、CAR-T細胞療法を受けている成人患者の毒性管理に関するGLをNat Rev Clin Oncol(2018; 15: 47-62)に発表している。しかし、小児患者では毒性の徴候や症状が成人患者とは異なるため、小児患者に特化したモニタリングが必要だとの判断から小児向けの管理GLを作成するに至ったという。

 具体的な推奨項目は①小児のCRSのモニタリングでは、臓器機能は小児の基準値を参照する②CRSの初期徴候や症状は軽微で見逃されやすく、患者のことを最もよく分かっている親や介護者が最初に気付く場合が多いため、親や介護者が変化に気付いたときには迅速に対応する−など。この他、CRSを疑うべき体温や血圧、動脈血酸素飽和度などの基準値も示されている。

(編集部)

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