抗PD-L1抗体+抗VEGF薬+化学療法でOS延長

非扁平上皮非小細胞肺がんの一次治療:IMpower150


 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療において、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+抗血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬ベバシズマブ+化学療法の併用療法により、ベバシズマブ+化学療法に比べて全生存期間(OS)が有意に延長したことなどが、オープンラベルの国際第Ⅲ相ランダム化比較試験IMPower150の中間解析の結果から示された。米・Florida Hospital Cancer InstituteのMark A. Socinski氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、シカゴ)で発表、N Engl J Med2018; 378: 2288-2301)に同時掲載された。

対象にEGFRALK変異例を含む

 ベバシズマブは抗血管新生効果に加えて、免疫抑制を解除(免疫能を改善)する効果が示唆されていることから、アテゾリズマブの効果を増強することが期待されている。

 IMPower150試験の対象は、Ⅳ期または再発・転移性の非扁平上皮NSCLCで、化学療法が未治療かつPD-L1の発現状況が測定可能な患者である。また同試験では、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性例およびALK遺伝子転座変異陽性例で、対応する分子標的治療を1種類以上受けている患者も組み入れられた。

 2015年3月~16年12月に登録された1,202例が、①アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)の併用療法を施行後、維持療法としてアテゾリズマブ単独投与を行う群(ACP群)②アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法併用を施行後、維持療法としてアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を行う群(ABCP群)③ベバシズマブ+化学療法併用を施行後、維持療法としてベバシズマブ単独投与を行う群(BCP群)―に1:1:1でランダムに割り付けられた。

 維持治療までの治療は、21日を1サイクルとして4~6サイクル施行。維持療法については、アテゾリズマブは病勢進行(PD)あるいは臨床的効果が消失するまで投与し、ベバシズマブはPDを認めるまで投与した。アテゾリズマブ投与へのクロスオーバーは認められなかった。アテゾリズマブ投与については、臨床的有用性が認められた場合には、”beyond PD”としての継続投与も認められた。

 主要評価項目は①有効性解析(intention-to-treat;ITT)集団においてEGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座変異がいずれも陰性の患者(ITT-WT)での担当医評価による無増悪生存期間(PFS)②ITT-WT例のうちT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子が高発現の患者(Teff-high WT)における担当医評価によるPFS③ITT-WT例におけるOS―の3つが設定された。

 ①のITT-WT例におけるPFSについては、2017年12月にスイス・ジュネーブで開催された欧州臨床腫瘍学会の腫瘍免疫学シンポジウム(ESMO IO 2017)において、ABCP群でBCP群に対する有意な延長が認められたことが報告された。今回は、3群および主なサブグループのOSの中間解析の結果やPFSのアップデータなどが報告された。

 ACP群(402例)、ABCP群(400例)、BCP群(400例)の患者背景は同様で、3群いずれも年齢中央値は63歳、男性は60%だった。またACP群、ABCP群、BCP群でそれぞれ、現/前喫煙者は24%/57%、23%/57%、23%/58%、肝転移ありは13%、13%、14%、EGFR遺伝子変異陽性例は11%、9%、11%、ALK遺伝子転座変異例は2%、3%、5%だった。

 さらにPD-L1の発現状況が腫瘍細胞(TC)と腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の両方で測定された。ACP群、ABCP群、BCP群でそれぞれ、TC 3(PD-L1発現50%以上)もしくはIC 3(同10%以上)は17%、19%、18%、TC 0およびIC 0は47%、48%、51%だった。

PD-L1の発現状況やEGFRALK変異の有無にかかわらず予後改善

 2018年1月22日をカットオフ日とする、追跡期間中央値20カ月のITT-WT例におけるOS中央値は、BCP群の14.7カ月(95%CI 13.3~16.9カ月)に対して、ABCP群では19.2カ月(同17.0~23.8カ月)と有意な延長が示された〔ハザード比(HR)0.78、95%CI 0.64~0.96、P=0.0164、〕。全生存率はBCP群、ABCP群でそれぞれ12カ月時は67%、61%、18カ月時は53%、41%、24カ月時は43%、34%だった。

図.ITT-WT例における全生存期間(ABCP群 vs BCP群)

 このABCP群のBCP群に対するOS延長効果は、PD-L1の発現状況や肝転移の有無別に見たサブグループ解析でも一貫して認められた。さらにEGFRALK変異例のみのグループでも認められた。

 肝転移を有する患者のOSにおいて、ABCP群(中央値13.2カ月)のBCP群(同9.1カ月)に対するHRは0.54(95%CI 0.33~0.88)だった。またEGFRALK変異を有する患者のOSにおいては、ABCP群(中央値未到達)のBCP群(同17.5カ月)に対するHRは0.54(95%CI 0.29~1.03)だった。

 PD-L1が高発現(TC 3またはIC 3)な患者のOSにおいては、ABCP群(中央値25.2カ月)のBCP群(同15.0カ月)に対するHRは0.70(95%CI 0.43~1.13)だった。低発現例(TC 1/2またはIC 1/2)では、ABCP群(中央値20.3カ月)のBCP群(同16.4カ月)に対するHRは0.80(95%CI 0.55~1.15)だった。PD-L1が陰性(TC 0またはIC 0)例では、ABCP群(中央値17.1カ月)のBCP群(同14.1カ月)に対するHRは0.82(95%CI 0.62~1.08)だった。

 またアップデートされたPFS中央値は、BCP群の6.8カ月(95%CI 6.0~7.1カ月)に対して、ABCP群では8.3カ月(同7.7~9.8カ月)と依然として有意な延長が示された(HR 0.59、95%CI 0.50~0.70、P<0.0001)。さらにABCP群のPD-L1高発現例では、アップデートされた奏効率(ORR)は69%、奏効期間中央値は22.1カ月(範囲2.8~29.0カ月)と良好だった。

アテゾリズマブ+化学療法群とベバシズマブ+化学療法群ではOSの有意差なし

 一方、ITT-WT例におけるACP群のOS中央値は19.4カ月(95%CI 15.7~21.3カ月)であった。この成績をBCP群と比較すると、ACP群で良好な傾向を認めるものの、有意差は認められなかった(HR 0.88、95%CI 0.72~1.08、P=0.2041)ことから、最終解析時に再検証される予定であるという。

 有害事象は既報と同様で、新たなものは認められなかった。重篤な有害事象はACP群、ABCP群、BCP群でそれぞれ39%、44%、34%、治療中止につながった副作用は13%、34%、25%に認められた。

 これらの結果から、Socinski氏は「アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法の併用療法は、特に本試験で検証された主要な患者集団においては、新たな標準治療となりうる」と結論した。

 切除不能NSCLCの一次治療における免疫チェックポイント阻害薬の有効性を検証した第Ⅲ相試験の結果が次々と報告されており、今後、標準治療がどのように変わるのかが注目されている()。

表.切除不能非小細胞肺がんの一次治療における免疫チェックポイント阻害薬の有効性を検証した第Ⅲ相試験

(図、表ともASCO2018発表データを基に編集部作成)

(髙田あや)

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