進行扁平上皮NSCLCへのnecitumumab

日本人患者でもGC療法との併用が有望

 IV期の扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する一次治療として、ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法(GC療法)にヒト上皮成長因子受容体(EGFR)のリガンド結合を阻害するヒトIgG1モノクローナル抗体necitumumabを加えることにより、GC療法のみと比べて、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)などの有効性の評価項目が有意に改善したことが、国内第Ⅰb/Ⅱ相の非盲検多施設共同ランダム化比較試験から示された。この3剤併用療法は忍容性も良好だった。関西医科大学病院呼吸器腫瘍内科准教授の吉岡弘鎮氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、シカゴ)で報告した。

OS、PFSが有意に延長、QOLへの効果も

 進行扁平上皮NSCLCの患者に対する一次治療として、GC療法+necitumumab併用療法は、GC療法単独と比べてOSとPFSを有意に改善したことが、国際第Ⅲ相試験SQUIRE(日本は不参加)で報告されている。同試験の結果に基づき、欧米では既にこの3剤併用療法が承認されている。

 吉岡氏らは今回、未治療のIV期扁平上皮NSCLCに対するGC療法+necitumumab併用療法について、日本人患者における安全性と有効性を検証した第Ⅰb/Ⅱ相試験の結果を報告した。

 同試験の第Ⅱ相のパートでは、患者をGC療法+necitumumab併用療法を行う群(GC+N群、90例)またはGC療法のみを行う群(GC群、91例)に1:1でランダムに割り付けた。治療は3週を1サイクルとして、ゲムシタビン1,250mg/m2を1日目と8日目に、シスプラチン75mg/m2を1日目に投与し、最大4サイクル施行した。necitumumabは800mgの固定用量で1日目と8日目に投与し、病勢進行または許容し難い有害事象が認められるまで継続した。主要評価項目はOS、副次的評価項目はPFS、奏効率、治療成功期間(TTF)、健康アウトカム(health outcomes)、EGFR蛋白の発現とOS、PFS、奏効率との関係、安全性とした。ベースラインの患者背景は同様だった。

 試験の結果、OS中央値はGC群の10.84カ月に対し、GC+N群では14.92カ月と有意な延長が認められた〔ハザード比(HR)0.656、95%CI 0.465~0.926、P=0.0161、〕。年齢やECOG PSで分けた全てのサブグループ解析においても、OSはGC+N群で優位であった。

図.全生存期間

(吉岡弘鎮氏提供)

 PFS中央値についても、GC群の4.01カ月に対し、GC+N群では4.21カ月と有意な延長が認められた(HR 0.562、95%CI 0.406~0.777、P=0.0004)。

 奏効率はGC群が20.9%、GC+N群が51.1%で、waterfall plotではGC+N群でより深い奏効が得られたことが示された。TTF中のイベントはGC群で91例、GC+N群で89例に発生し、TTF中央値はGC群が3.8カ月、GC+N群が4.2カ月であった。

 GC+N群で示されたOSとPFSの改善は、EGFR蛋白発現陽性例で一貫した傾向が認められた。EGFR蛋白発現陽性例では、GC群に対するHRはOSで0.62(95%CI 0.43~0.90、P=0.011)、PFSで0.54(同0.38~0.76、P<0.001)だった。EGFR蛋白発現陰性例ではこのような傾向は見られなかった。

 さらに、肺がんに特化したLung Cancer Symptom Scaleを用いて評価した健康アウトカムについては、GC療法とnecitumumabを併用することで、症状の悪化およびQOLの低下を遅らせることが示唆された。

 治療中の死亡の発生はなかった。特に注目されたグレード3の有害事象として、GC+N群では皮膚反応が10.0%に発現し、痤瘡状皮膚炎が5.6%、爪周囲炎が4.4%で認められた。GC群ではそれぞれ2.2%、0%、0%だった。またGC+N群では、グレード3の低マグネシウム血症が4.4%、静脈血栓症のイベントが2.2%で発現した。同試験で得られたGC+N群の安全性のデータは、予測された安全性プロファイルと同等だった。

(編集部)

吉岡弘鎮氏のコメント

わが国でも3剤併用療法が未治療扁平上皮NSCLCの標準治療の1つに

Ⅳ期の未治療扁平上皮NSCLC患者において、シスプラチン+ゲムシタビン併用療法に抗EGFR抗体necitumumabを加えることでOSが延長することはグローバル第Ⅲ相試験のSQUIRE試験で検証されており、欧米ではこの3剤併用療法が承認されている。

 今回、日本国内で行われた第Ⅰb/Ⅱ相試験においてもOSとPFSの延長、さらに奏効率の上昇やQOLの改善も見られた。necitumumabに起因する有害事象として皮疹、低マグネシウム血症などが見られたが、十分に忍容可能であった。

今回の結果から、わが国においても、この3剤併用療法が未治療扁平上皮NSCLCに対する標準治療の選択肢 となると思われる。一方、同様の対象に対して化学療法と抗PD-1抗体の併用療法が有力な治療選択肢として浮上してきており、それぞれの使い方・使い分けについては今後の検討課題である。

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