キイトルーダ単剤、PD-L1発現1%以上の進行NSCLCの一次治療でOS延長

KEYNOTE-042の中間解析:1~49%の患者およびPFSは有意差なし


 米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)が6月1~5日に米国・シカゴで開催された。同学会の目玉演題に位置付けられるプレナリーセッション4演題の1つとして、腫瘍細胞のPD-L1の発現(Tumor Proportion Score;TPS)が1%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する初回治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証したオープンラベルの第Ⅲ相臨床試験(KEYNOTE-042)の中間解析に関する演題が採択された。登壇した⽶・University of Miami Health System Sylvester Comprehensive Cancer CenterのGilberto Lopes⽒は、ペムブロリズマブ単剤療法群において化学療法に対する全生存期間(OS)の有意な延長が認められた一方で、TPSが1~49%の患者に解析対象を絞った探索的解析では両群のOSでの有意差は認められず、無増悪生存期間(PFS)の評価でも両群に差は認められなかったことなどを報告した(関連記事:「【解説】未治療非小細胞肺がんへの抗PD-1抗体、単剤か併用か」「【解説】抗PD-1抗体+化学療法の意義」「【解説】未治療肺がんへの免疫療法併用の意義」)。

クロスオーバーは許容されず

 KEYNOTE-042試験の対象は、腫瘍細胞のTPSが1%以上の局所進行性または転移性のNSCLCで、①進行性または転移性NSCLCに対する全身化学療法の治療歴がない②上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座変異が認められない③全身状態(ECOG PS)が0/1―などの適格基準を満たした患者である。組織型は問わず、扁平上皮型、非扁平上皮型の両症例が含まれた。また層別化因子は①地域(東アジア vs. その他の地域)②ECOG PS(0 vs. 1)③組織型(扁平上皮型 vs. 非扁平上皮型)④TPS(50%以上 vs. 1~49%)―であった。

 2018年2月26日をデータカットオフ日として日本を含む32カ国213施設で登録された1,274例が、ペムブロリズマブ200mgを3週間間隔で35サイクルまで単剤投与する群(ペムブロリズマブ群、637例)と標準的な化学療法を行う群(637例)に1:1でランダムに割り付けられた。化学療法はカルボプラチン〔血中濃度曲線下面積(AUC)5または6mg/mL/分〕にパクリタキセル200mg/m2またはペメトレキセド500mg/m2を3週間間隔で最大6サイクル併用投与した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)で、TPSが50%以上の患者で評価を行った後、20%以上、1%以上と患者を広げて連続的に評価した。また同試験では、化学療法群のペムブロリズマブ投与へのクロスオーバーは認められなかった。

 両群の患者背景は同様で、ペムブロリズマブ群、化学療法群でそれぞれ年齢中央値(範囲)は63歳(25~89歳)、63歳(31~90歳)、男性は70.6%、71.0%、ECOG PS 1は68.9%、69.9%、扁平上皮型は38.1%、39.1%。TPS は50%以上/20~49%/1~19%がそれぞれ46.9%/17.9%/35.2%、47.1%/16.5%/36.4%、現・前喫煙者が77.7%、78.0%であった。また進行性・転移性NSCLC以外への前治療として、従前療法が0.5%、1.1%、術後療法が2.8%、1.9%、放射線治療が11.8%、12.7%に行われていた。

OSはTPSが1%以上で有意差が認められたが、TPS 1~49%では有意差なし

 試験の結果、OS中央値は、TPSが50%以上、20%以上、1%以上のいずれの群でも、化学療法群に対するペムブロリズマブ群の有意な延長が認められた。

 すなわち、TPS 50%以上のPD-L1強発現の患者では、OS中央値は化学療法群(199例)の12.2カ月(95%CI 10.4~14.2カ月)に対し、ペムブロリズマブ群(157例)では20.0カ月(同15.4~24.9カ月)と有意な延長が認められた〔図1、ハザード比(HR)0.69、95%CI 0.56~0.85、P=0.0003〕。

図1.全生存期間:TPS≧50%

 また、TPS 20%以上の患者でも、OS中央値は化学療法群(266例)の13.0カ月(95%CI 11.6~15.3カ月)に対し、ペムブロリズマブ群(230例)では17.7カ月(同15.3~22.1カ月)と有意な延長が認められた(HR 0.77、95%CI 0.64~0.92、P=0.0020)。さらに、TPS 1%以上の患者では、OS中央値は化学療法群(438例)の12.1カ月(95%CI 11.3~13.3カ月)に対し、ペムブロリズマブ群(371例)では16.7カ月(同13.9~19.7カ月)であった(図2、HR 0.81、95%CI 0.71~0.93、P=0.0018)。

図2.全生存期間:TPS≧1%

 一方、TPSが1~49%の患者を対象にした探索的解析では、OS中央値は化学療法群(239例)の12.1カ月(95%CI 11.0~14.0カ月)に対し、ペムブロリズマブ群(214例)では13.4カ月(同10.7~18.2カ月)で差は認められなかった(図3、HR 0.92、95%CI 0.77~1.11)。

図3.全生存期間:TPS 1~49%(探索的解析)

(図1~3ともASCO 2018発表データを基に編集部作成)

PFSは最終解析で評価予定

 また、PFS中央値はTPS 50%以上の患者で、化学療法群の6.4カ月(95%CI 6.1~6.9カ月)に対し、ペムブロリズマブ群では7.1カ月(同5.9~9.0カ月)であり、HRは0.81(95%CI 0.67~0.99)、P=0.0170となり、先行する仮説における優越性の要件(P=0.01455)は満たさなかった。

 TPS 20%以上の患者では、PFS中央値は化学療法群6.6カ月(95%CI 6.2~7.3カ月)に対し、ペムブロリズマブ群では6.2カ月(同5.1~7.8カ月)であった(HR 0.94、95%CI 0.80~1.11)。また、TPS 1%以上の患者では、PFS中央値は化学療法群6.5カ月(95%CI 6.3~7.0カ月)に対し、ペムブロリズマブ群では5.4カ月(同4.3~6.2カ月)であった(HR 1.07、95%CI 0.94~1.21)。

 なおTPSが20%以上、1%以上の患者を対象としたPFSの解析については、TPS 50%以上の患者での解析結果を受け、事前に規定された逐次評価計画による正式な評価は行われていない。PFSについては、データモニタリング委員会の勧告に従い、引き続き最終解析で評価する予定であるという。

 奏効率(ORR)は、ペムブロリズマブ群、化学療法群でそれぞれ、TPS 50%以上では39.5%、32.0%、TPS 20%以上では33.4%、28.9%、TPS 1%以上では27.3%、26.5%であった。

 またTPS 1%以上での奏効期間中央値は化学療法群の8.3カ月に対し、ペムブロリズマブ群では20.2カ月と長い傾向が認められた。

 グレード3~5の治療関連の有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群の17.8%に対し、化学療法群では2倍以上の41.0%であった。またペムブロリズマブ群では、免疫関連の有害事象として肺臓炎による死亡が1例に認められた。

TMBも取り入れた評価は?

 この結果について、ディスカッサントとして登壇した米・New York University Langone’s Perlmutter Cancer CenterのLeena Gandhi氏は、「PD-L1が強発現の患者での好成績に牽引されている」と指摘。また、化学療法単独はもはや比較対照としては標準的でないことや、もう1つのバイオマーカーであるTumor Mutation Burden(TMB)とPD-L1を組み合わせた評価により、最適な対象患者を細分化する考えなどを示唆した。

(髙田あや)


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