低線量CTによる肺がん検診で死亡リスク低下

住民ベースのRCTで新たなエビデンス

低線量ヘリカルCT(低線量CT)を用いた肺がん検診の有効性について、1万5,000例を超える地域住民ベースで評価したランダム化比較試験(RCT)NELSONから、肺がんによる死亡リスクは肺がんのリスクが高い男性で10年間に26%、女性では39%減少することが示された。オランダ・Erasmus MC University Medical Center RotterdamのHarry J. de Koning氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告した。

住民登録を用いて1万5,000例以上を登録

肺がんCT検診の有効性を評価したRCTには、米国で行われたNLST試験がある。同試験では、肺がんのリスクが高い5万3,454例(男性59%)を対象に低線量CTまたは胸部X線検査を年1回、3年間行ったところ、肺がんの死亡率における相対リスクは低線量CTで20%低下したことが報告された。また事後解析では、弱いエビデンスであるものの、女性でリスク比が低い傾向にあった。ただし、NLST試験を除き、低線量CTによる肺がん検診について死亡率でベネフィットを示したRCTはない。

NELSON試験では、住民登録に基づいて患者を登録し、CTによるスクリーニングを行う試験群と行わない対照群にランダムに割り付けた。CT画像の読影は中央判定委員会で行い、肺結節の体積と体積倍加時間を評価した。

住民登録から抽出された50~74歳の男女60万6,409例に質問票を郵送し、全ての質問に回答して適格基準を満たしたのは3万959例だった。適格基準として、1日10本を超える喫煙を30年を超えて継続、または1日15本を超える喫煙を25年を超えて継続していること、禁煙している場合は10年以内であることとした。最終的に同意が得られた1万5,792例(女性16%)を試験群7,900例、対照群7,892例にランダムに割り付けた。

ベースラインの患者背景は両群でほぼ同様であり、男性は80%以上、年齢中央値は約60歳、pack-years(1日の喫煙本数/20本×喫煙年数)は約40、現喫煙者は約55%だった。

試験群では、CTによる検診は1、2、4、6.5年目に行った。被験者の診療記録は国家登録とリンクしており、がんの診断(Dutch/Belgium Cancer Registry)、死亡日(Centre for Genealogy)、死因(Statistics Netherlands/Belgium)が全てカバーされている。追跡期間は、死亡を除いて最短10年間とし、2003年12月23日~15年12月31日であった。

CT検診により死亡リスクは低下、性による差も

低線量CT検診は計2万7,053回行われ、平均遵守率は85.6%であった。被験者の9.3%が肺結節の体積倍加時間を推定する目的で追加のCTを2カ月以内に行い、最終的に2.3%が専門医に紹介された。肺がんの検出率は、CT検診の施行回数ごとに0.8~1.1%となった。試験群で検出された肺がんの約60%はIA期またはIB期だった。

追跡10年目の時点における対照群に対する試験群の肺がんによる死亡率比は、男性では0.74(95%CI 0.60~0.91、P=0.003)で、それ以前の8年目、9年目の値はそれぞれ0.75(同0.59~0.95、P=0.015)、0.76(同0.60~0.95、P=0.012)と安定していた。一方、女性では、8年目は0.39(同0.18~0.78、P=0.0037)、9年目は0.47(同0.25~0.84、P=0.0069)、10年目は0.61(同0.35~1.04、P=0.0543)であった()。

表.肺がんによる死亡率比

(WCLC 2018発表データを基に編集部作成)

 NELSON試験の結果について、Koning氏らは「NLST試験よりも良好な結果が得られ、性差も示唆された。これらの成績は、低線量CTによる肺がん検診の有効性に関する情報を世界に提供し、今後の方向を示すために用いる必要がある」としている。

(WCLC 2018取材班)

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