次世代ALK阻害薬、がん増悪リスクを51%低減

ALK変異陽性非小細胞肺がんに対するbrigatinib

ALK阻害薬未治療で局所進行性または転移性のALK遺伝子転座変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、次世代ALK阻害薬であるbrigatinibの有効性と安全性をクリゾチニブと比較検討した第Ⅲ相試験ALTA-1Lの中間解析結果が明らかになった。同試験では、brigatinib群においてクリゾチニブ群と比べて無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が認められ、病勢進行または死亡のリスクが51%低下した。米・University of Colorado Cancer CenterのDavid R. Camidge氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告した。結果はN Engl J Med2018年9月25日オンライン版)に同時掲載された。

クリゾチニブ抵抗性NSCLCで高い奏効率示す

 NSCLC患者では、3~5%にALK遺伝子の転座が見られる。今回、ALTA-1L試験でbrigatinibと比較されたクリゾチニブは第一世代ALK阻害薬で、治療歴がない進行ALK遺伝子転座変異陽性NSCLC患者においてペメトレキセドとプラチナ製剤の2剤による標準化学療法に対し優越性を示したとするPROFILE 1014試験の結果が報告されている(PFS中央値:10.9カ月 vs. 7.0カ月)。

 一方、次世代ALK/ROS1阻害薬であるbrigatinibは、幅広いALK抵抗性変異に対し効果を発揮することが前臨床試験で明らかにされており、複数の上皮成長因子受容体(EGFR)変異細胞株に対して効果を示した唯一のALK阻害薬でもあるという。また、Camidge氏は「brigatinibはクリゾチニブ抵抗性のNSCLC患者を対象とした2件の臨床試験で全身および中枢神経系(CNS)に対する高い奏効率を示し、brigatinib投与群におけるPFS中央値はさまざまな次世代ALK阻害薬の中で最も高かった」と説明した。

地域施設でのALK検査に基づき275例を組み入れ

 今回報告されたのは、第Ⅲ相オープンラベル多施設共同ランダム化比較試験ALTA-1Lの事前に設定されていた初回中間解析の結果だ。同試験では、ステージⅢB/ⅣでALK阻害薬未治療かつ全身療法歴が1種類以下のALK遺伝子転座変異陽性NSCLC患者275例を、地域の各医療施設で実施されたALK検査の結果に基づき組み入れた。対象を137例をbrigatinib 180mgを1日1回(7日間の導入期間は90mgを1日1回)投与する群(brigatinib群、137例)とクリゾチニブ250mgを1日2回投与する群(クリゾチニブ群138例)に1:1でランダムに割り付けた。患者登録は2017年8月まで実施した。なお、対象のベースライン時の年齢中央値は59歳(27~89歳)で、29%に脳転移が認められた。

 主要評価項目は独立評価委員会が評価したPFS。副次評価項目は、『固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)改訂版1.1』に基づく客観的奏効率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間(OS)、安全性および忍容性などであった。初回の中間解析は2018年2月19日をデータカットオフ日として実施した。追跡期間の中央値はbrigatinib群11カ月(0~20.0カ月)、クリゾチニブ群9.25カ月(0~20.9カ月)だった。なお、クリゾチニブ群の35例が病勢進行のためbrigatinib群にクロスオーバーした。

脳転移を認めた患者群で特に顕著なPFS改善を認める

 解析の結果、主要評価項目のPFSについては、brigatinib群のクリゾチニブ群に対する統計学的に有意な優越性が示された。 PFS中央値は、クリゾチニブ群の9.8カ月(同9.0~12.9カ月)に対し、brigatinib群では未到達(NR、95%CI NR~NR)であり、有意な延長が認められた〔ハザード比(HR)0.45、95%CI 0.30~0.68、P=0.0001、log-rank検定、〕。また、1年時点のPFS率はクリゾチニブ群の43%(95%CI 32~53%)に対し、brigatinib群では67%(同56~75%)と有意に高く、病勢進行または死亡のリスクが51%低下していた(HR 0.49、95%CI 0.33~0.74、P=0.0007、log-rank検定)。

図.無増悪生存期間

(WCLC 2018発表データを基に編集部作成)

 また、化学療法歴がある患者群(brigatinib群36例、クリゾチニブ群37例)とない患者群(両群とも101例)のいずれにおいても、PFSの中央値および1年時点のPFS率はクリゾチニブ群と比べてbrigatinib群で有意に優れていた(病勢進行または死亡に対するHRは、それぞれ0.35、0.55)。

 この他、全てのサブグループでPFSはクリゾチニブ群と比べてbrigatinib群で優れており、特にベースライン時に脳転移があった患者群ではPFSイベントの発生率はbrigatinib群(40例)が20%、クリゾチニブ群(41例)が59%で、病勢進行または死亡に対するHRは0.20(95%CI 0.09~0.46)とbrigatinib群における優越性が顕著に認められた。なお、ベースライン時に脳転移がなかった患者群では、クリゾチニブ群に対するbrigatinib群の有意なリスクの低下は認められなかった。Camidge氏は追跡期間が短かったことに言及した上で、「クリゾチニブ群において早期からCNS関連のイベントが他のイベントに先行して発生したことが、顕著な群間差を生んだ要因ではないか」との見解を示した。

 brigatinib群における安全性プロファイルに関しては、これまでの報告と一貫していた。なお、同氏はbrigatinib群でのみ報告された有害事象として間質性肺疾患/肺炎の早期発症例(治療開始から14日以内)を挙げた上で、「発症率は3%と低かった」と説明。今回の中間解析結果を踏まえ、「brigatinibはALK遺伝子転座変異陽性NSCLCに対する新たなファーストライン治療の選択肢として有望である」と結論した。

ALK in Lung Cancer Trial of Brigatinib in 1st Line

(WCLC 2018取材班)

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