実臨床でもアファチニブの用量調整は有用

NSCLCにおける副作用の頻度と重症度は低下

 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、一次治療としての第二世代EGFR-TKIアファチニブの投与をリアルワールド(実臨床)で評価した非介入観察研究RealGiDoから、用量調整を行うことで有効性を低下させることなく、薬物有害反応(ADR)の頻度と重症度が低下することが示された。臨床試験の知見が実臨床でも確認される結果となった。米・Montefiore Albert Einstein Cancer CenterのBalazs Halmos氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告した。

臨床試験では示唆されていた低用量アファチニブの有効性

 これまでに行われたEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者を対象としたアファチニブの臨床試験(LUX-Lung)では、忍容性を指標とした同薬の用量調整により、有効性を損なうことなく、有害事象の頻度と重症度が低下したことが報告されている(関連記事:「低用量アファチニブは有効かつ副作用を軽減」)。

 そこでHalmos氏らは、実臨床における観察研究RealGiDoを実施し、アファチニブの用量調整が有効性と安全性に及ぼす影響を検討した。

 RealGiDoには、日本を含むアジアや欧米などの13カ国から29施設が参加した。チロシンキナーゼ阻害薬の投与歴がないEGFR遺伝子変異陽性〔エクソン19の欠失変異(Del 19)/エクソン21のL858R変異(L858R)〕のNSCLCで、1次治療としてアファチニブが投与された患者の診療記録を後ろ向きに検討した。臨床試験での投与例は除外した。主要評価項目は、重症度ごとのADRの発生率、アファチニブによる治療成功期間(TTF)、無増悪期間(TTP)。副次的評価項目は、アファチニブの開始用量を変更した患者の割合とその理由だった。

 228例のデータを用いて、ベースラインの患者背景をLux-Lung3試験と比較した。Lux-Lung3試験は第Ⅲ相のランダム化比較試験で、進行NSCLCに対する一次治療においてアファチニブと併用化学療法を比較し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はアファチニブで有意に延長したことが報告されている。

 ベースラインの患者背景は、RealGiDoとLux-Lung3試験で類似していたが、RealGiDoではDel19を有する者がより多く(78.1% vs. 48.7%)、アジア人が少なかった(43.9% vs. 72.2%)。またECOG PS2/3の患者はRealGiDoでのみ11.9%含まれた。

患者の78%が用量を調整、効果は維持

 RealGiDoでは、アファチニブの開始用量を40mg/日未満とした患者は31%となり、このうち20%は研究期間中に増量が行われた。開始用量を調整した主な理由は、患者特性(41.1%)、試験担当医の判断(31.5%)などだった。

 用量調整は患者の78%に行われていた。開始用量を40mg/日とし、最初の6カ月間に用量調整が行われた患者(91例)のデータは、Lux-Lung3試験の成績と同様であった。減量の大半は最初の6カ月間に行われ(RealGiDo、Lux-Lung3試験とも86%)、いずれかの時点で減量が行われた割合は実臨床で高い数字となった(同67%、53%)。RealGiDoで減量がより多く行われていたのは、女性、日本人、アジア人、体重が少ない患者などだった。用量調整の主な理由はADRだった。

重篤な有害事象の発現率は実臨床で低い

 さらに、新たな安全性の問題は認められなかった。アファチニブに関連するグレード3以上の有害事象(DRAE)の発現率は、RealGiDoでは24.6%、Lux-Lung3試験では48.9%に発生し、重篤なDRAEはそれぞれ6.6%、14.0%と、実臨床で低かった。最も多く認められたADRまたは有害事象は発疹/痤瘡と下痢だった。

 開始用量を40mg/日とし、最初の6カ月間に用量調整が行われた91例では、用量調整前には98.6%でADR(全グレード)が発生したが、用量調整後は71.2%であった。一方、開始用量が30mg/日以下の患者では、ADR(全グレード)の発生率は40mg/日以上の患者と同様だったが、グレード3の発生率は低く(16.9% vs. 24.8%)、グレード4は発生しなかった(0% vs. 3.2%)()。

図.アファチニブの開始用量別に見た薬物有害反応の発生率

(WCLC 2018発表データを基に編集部作成)

 また、実臨床において開始用量の減量や用量の調整にかかわらず、LUX-Lung試験と同様のアファチニブ投与によるTTFとTTPが得られることも示された。全体ではTTF中央値は18.7カ月、TTP中央値は20.8カ月だった。開始用量が30mg以下の患者(71例)、最初の6カ月間に40mg未満に減量した患者(91例)、最初の6カ月間を40mg以上で維持した患者(66例)におけるTTF中央値は、それぞれ19.4カ月、17.7カ月、19.5カ月、TTP中央値は25.9カ月、20.0カ月、29.0カ月であった。

 今回の結果について、Halmos氏らは「アファチニブの用量を個々の患者の特性やADRの状況に基づいて個別化することにより、最も効果的な結果が得られることを示すものだ」と総括した。

(WCLC 2018取材班)

コメント

Leave a comment

Your email address will not be published.


*