未治療進展型小細胞肺がんに抗PD-L1抗体が奏効


標準治療にアテゾリズマブ追加でOSとPFSが有意に延長―IMpower133

 未治療の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対し、標準治療である化学療法に抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを追加することで、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したとする二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験IMpower133の結果が明らかになった。米・Georgetown UniversityのStephen V. Liu氏が第19回世界肺癌学会議(WCLC 2018、9月23~26日、トロント)で報告した。結果はN Engl J Med2018年9月25日オンライン版)に同時掲載された。

過去20年でES-SCLCの一次治療に進展なし

 Liu氏によると、過去20年にわたってES-SCLCに対する一次治療にはほとんど進展が見られていない。標準治療はプラチナ製剤とエトポシドの併用による化学療法だが、報告されているOS中央値は10カ月と予後不良であることが課題となってきた。

 しかし、近年は難治性/転移性SCLCに対し免疫療法が有効であったとする複数の報告があり、米国では今年(2018年)8月に転移性SCLCに対する三次治療に抗PD-1抗体のニボルマブが承認されている。また、抗PD-L1抗体と化学療法の併用で相乗的な作用が生まれる可能性を示した前臨床データも報告されているという。

 そこでLiu氏らは、ES-SCLCに対する一次治療で標準化学療法(カルボプラチン+エトポシド)にアテゾリズマブを上乗せした場合の有効性と安全性を評価するため、二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験IMpower133を実施した。

 同試験では、既治療の無症候性脳転移を有する患者を含む全身治療歴がないES-SCLC患者403例を、標準化学療法にアテゾリズマブを追加する群(アテゾリズマブ群、201例)と標準化学療法にプラセボを追加する群(プラセボ群、202例)に1:1でランダムに割り付けた。治療はまず導入療法(21日を1サイクルとして4サイクル施行)においてアテゾリズマブまたはプラセボは2,100mgを1日目に、カルボプラチンは血中濃度曲線下面積(AUC)5mg/mL/分を1日目に、エトポシドは100mg/m2を1~3日目に投与した後、維持療法としてアテゾリズマブまたはプラセボを病勢進行または臨床的ベネフィットが失われるまで投与した。

 複合主要評価項目はOSおよび担当医の評価によるPFSで、主な副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、奏効期間、安全性とした。なお、ベースライン時の患者の年齢中央値は両群とも64歳で、脳転移を有する割合はアテゾリズマブ群17%、プラセボ群18%、肝転移を有する割合はそれぞれ77%、72%だった。

「新たな標準治療として有望」

 2018年4月24日をデータカットオフ日として解析を行った。追跡期間中央値は13.9カ月だった。その結果、OS中央値はプラセボ群の10.3カ月(95%CI 9.3~11.3カ月)に対し、アテゾリズマブ群では12.3カ月(同10.8~15.9カ月)と有意に延長しており、死亡リスクが30%低下していた〔ハザード比(HR)0.70、95%CI 0.54~0.91、P=0.0069、図1〕。12カ月時点における全生存率はプラセボ群で38.2%、アテゾリズマブ群で51.7%だった。

図1.全生存期間(OS)

 また、担当医の評価によるPFS中央値もプラセボ群の4.3カ月(95%CI 4.2~4.5カ月)に対し、アテゾリズマブ群では5.2カ月(同4.4~5.6カ月)と有意に長く、病勢進行または死亡のリスクが23%低下していた(HR 0.77、95%CI 0.62~0.96、P=0.017、図2〕。

図2.無増悪生存期間(PFS)

(WCLC 2018発表データを基に編集部作成)

 6カ月時点の無増悪生存率はプラセボ群22.4%、アテゾリズマブ群30.9%、12カ月時点ではそれぞれ5.4%、12.6%だった。一方、ORR中央値はプラセボ群60.2%、アテゾリズマブ群64.4%、奏効期間中央値はそれぞれ3.9カ月(95%CI 2.0~16.1カ月)、4.2カ月(同1.4~19.5カ月)だった。

 安全性に関しては、血液学的な有害事象の頻度は両群で同程度であり、アテゾリズマブの追加によりカルボプラチンとエトポシドによる標準治療が施行困難となることはなかったという 。また、免疫関連の有害事象の発現率やタイプもアテゾリズマブ単独治療で報告されていたものと類似していたとしている。

 Liu氏は、IMpower133の結果について「これまでの20年間で、ES-SCLCに対する一次治療において現行の標準治療と比べて臨床的に意義があるOSの改善を示した初めての臨床試験だ」と指摘。また、「カルボプラチンとエトポシドにアテゾリズマブを追加することでOSとPFSが有意に改善し、上乗せ治療の安全性プロファイルについても従来の報告と一貫しており、有害事象は予測範囲内であった」とした上で、「これらのデータから、アテゾリズマブとカルボプラチンおよびエトポシドの併用治療が、ES-SCLCに対する一次治療において新たな標準治療となりうることが示された」と結論した。

(WCLC 2018取材班)

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