“イピニボ”が高TMBの未治療肺がんで奏効

 2016年10月、いずれも免疫チェックポイント阻害薬で抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)とニボルマブ(同オプジーボ)の未治療の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する単剤投与の有効性について検証した2件の大規模臨床試験の結果が報告された。その結果、PD-L1強発現例に対するペムブロリズマブ単剤投与の有効性が示されたのに対し、ニボルマブ単剤投与の有効性は示されなかった(関連記事:「抗PD-1抗体、肺がん一次治療で奏効」)。今回新たな知見として、がん治療における重要なバイオマーカーとされるTumor Mutation Burden(TMB)が高レベルな未治療NSCLC患者に対象を絞り、かつ抗CTLA-4抗体のイピリムマブとニボルマブを併用投与(いわゆる”イピニボ”)した検討において、化学療法群に比べて無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示された。米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew D. Hellmann氏らが、オープンラベルの第Ⅲ相ランダム化比較試験CheckMate 227の結果として、第109回米国がん研究協会(AACR 2018、4月14~18日、シカゴ)で発表、N Engl J Med2018年4月16日オンライン版)にも同時掲載された(国立がん研究センター中央病院先端医療科の北野滋久氏による解説はこちら、関連記事:「キイトルーダ、肺がんの一次治療で新展開」「【キーワード】Tumor Mutation Burden(TMB)」)。

TMB高レベル患者は44.2%

 CheckMate 227試験の対象は非扁平上皮および扁平上皮の組織型を含むステージⅣまたは再発のNSCLC患者で、①化学療法の治療歴がない②上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異またはALK融合遺伝子変異が陰性③全身状態(ECOG PS)が0または1―などの条件を満たした患者である。同試験では、昨年(2017年)11月に米食品医薬品局(FDA)が承認した検査法「FoundationOne CDx」を用いてTMBを測定。10変異/メガベース以上を”高レベル”と定義した(関連記事:「324種のがん遺伝子変異を一度で検査」)。

 同試験は3つのパート(パート1a、1b、2)で構成されており、今回はパート1aおよび1bの結果が報告された。

 パート1aでは、PD-L1陽性(PD-L1の発現が1%以上)例をニボルマブとイピリムマブの併用療法を行う群、ニボルマブ単剤群、化学療法群に1:1:1にランダムに割り付けた。パート1bでは、PD-L1陰性(PD-L1の発現が1%未満)例をニボルマブ+イピリムマブ併用群、ニボルマブ+化学療法群、化学療法群に1:1:1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、①TMBが高レベルな患者における、ニボルマブ+イピリムマブ併用群と化学療法群との比較によるPFS②PD-L1陽性例における、ニボルマブ+イピリムマブ併用群と化学療法群との比較による全生存期間(OS)―の複合とした。

 用量・用法は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群ではニボルマブ3mg/kgを2週ごと、イピリムマブ1mg/kgを6週ごとに投与。ニボルマブ単剤群では、ニボルマブ240mgを2週ごとに投与。ニボルマブ+化学療法群では化学療法に加えてニボルマブ360mgを3週ごとに投与した。化学療法は、組織型に基づいてプラチナ製剤を含む2剤併用療法とした。

 治療期間は、ニボルマブ投与については最長2年とし、病勢進行が認められるまで、あるいは許容し難い有害事象が認められるまで継続した。クロスオーバーは認められなかった。

 パート1では、2015年8月~16年11月に日本を含む30カ国以上から2,877例が登録され、うち1,739例をランダムに割り付けした。1,739例中1,004例でTMBが測定され、うち444例(44.2%)でTMBが高レベルと判定。TMB高レベル患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用群(139例)と化学療法群(160例)の患者背景は同様で、年齢中央値はともに64歳、男性はそれぞれ70.5%、66.2%、アジア人は15.1%、20.0%、現または前喫煙者は93.5%、91.2%、PD-L1陽性は72.7%、70.0%であった。

増悪リスクを42%減少

 中央値で11.2カ月の追跡の結果、TMBが高レベルな患者におけるPFS中央値は、化学療法群の5.5カ月(95%CI 4.4~5.8カ月)に対し、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群では7.2カ月(同5.5~13.2カ月)と有意な延長が認められた〔病勢進行または死亡のハザード比(HR)0.58、97.5%CI 0.41~0.81、P<0.001、〕。

図.CheckMate 227試験における無増悪生存期間(PFS)

N Engl J Med 2018年4月16日オンライン版)

 1年PFS率はニボルマブ+イピリムマブ併用群で42.6%、化学療法群で13.2%。客観的奏効率はそれぞれ45.3%(完全奏効5例、部分奏効58例)、26.9%(同1例、42例)であった。

 このTMB高レベル患者における化学療法群に対するニボルマブ+イピリムマブ併用群の優越性は、PD-L1陽性、陰性のいずれの患者群をはじめ、全てのサブグループで一貫して認められた。OSについては未到達であった。

バイオマーカーとしてのTMBの重要性を示唆

 パート1におけるグレード3/4の有害事象の発現率は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群で31.2%、ニボルマブ単剤群で18.9%、化学療法群で36.1%であった。ニボルマブ+イピリムマブ併用群で最も多く認められた免疫関連の有害事象は皮膚障害(33.9%)で、グレード3/4では肝機能障害(8.0%)であった。

 これらの結果から、Hellmann氏らは「TMBが高レベルな肺がん患者の一次治療において、PD-L1の発現状況にかかわらず、ニボルマブ+イピリムマブ併用群で化学療法群に対するPFSの有意な延長が認められた。この結果は、NSCLC患者に対してニボルマブとイピリムマブを併用投与する有効性および患者選択時のバイオマーカーとしてのTMBの有用性を示唆している」と結論している。

(髙田あや)

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