キイトルーダ、肺がんの一次治療で新展開


 わが国において、非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療に免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の単剤投与が臨床導入されてから約1年半(関連記事:「キイトルーダ 肺がん一次治療で承認」)。NSCLCの一次治療は再び大きな変革期を迎えそうだ。非扁平上皮NSCLCの一次治療としての化学療法+ペムブロリズマブ併用療法の有効性を検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験KEYNOTE-189の結果について、New York University Langone’s Perlmutter Cancer CenterのLeana Gandhi氏らがN Engl J Med2018年4月16日オンライン版)に発表。化学療法とペムブロリズマブの併用療法により、化学療法単独に比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)がいずれも有意に延長したことを示した。この結果は、第109回米国がん研究学会(AACR 2018、4月14~18日、シカゴ)でも報告された(国立がん研究センター中央病院先端医療科の北野滋久氏による解説はこちら、関連記事:「“イピニボ”が高TMBの未治療肺がんで奏効」)。

患者はPD-L1の発現状況にかかわらず登録

 KEYNOTE-189の対象は、転移性の非扁平上皮NSCLCで、①上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座変異が認められない②未治療③全身状態(ECOG PS)が0/1―などの適格基準を満たした患者である。同試験では、PD-L1の発現状況が評価されたものの、それにかかわらず試験参加は許容された。

 2016年2月~17年3月に日本を含む16カ国118施設で登録された616例を化学療法+ペムブロリズマブ群(410例、以下ペムブロリズマブ併用群)と化学療法+プラセボ群(206例、以下プラセボ群)に2:1でランダムに割り付け、主要評価項目をOSおよびPFSとして比較検討した。化学療法はペメトレキセド+プラチナ製剤。ペムブロリズマブ併用群では、ペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2(ビタミン剤を併用)+シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチン〔血中濃度曲線下面積(AUC)5mg/mL/分〕を3週間間隔で4回投与後、ペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごとに病勢進行が認められるまで投与した。

 プラセボ群で病勢進行が認められた場合は、ペムブロリズマブ単剤投与へのクロスオーバーが認められた。

 両群の患者背景は、ペムブロリズマブ併用群で男性が若干多かった(62.0% vs. 52.9%、P=0.04)以外は同様であった。ペムブロリズマブ併用群、プラセボ群でそれぞれ年齢中央値(範囲)は65.0歳(範囲34.0~84.0歳)、63.5歳(同34.0~84.0歳)、現または前喫煙者は88.3%、87.9%、PD-L1の発現が1%以上は63.4%、62.1%、同50%以上は32.2%、34.0%であった。またプラチナ製剤ベースの化学療法については、患者の72.2%がカルボプラチンを投与されていた。

 2017年11月8日のデータカットオフ時点で、治療継続中の患者はペムブロリズマブ併用群が33.8%、プラセボ群が17.8%だった。またintention-to-treat(ITT)解析集団では、なんらかの後治療を受けていた患者(クロスオーバー例を含む)はペムブロリズマブ併用群が30.5%、プラセボ群が46.6%だった。

 プラセボ群でのペムブロリズマブ単剤投与へのクロスオーバー率は32.5%で、それ以外にも8.7%の患者が他の免疫療法による治療を受けていた。

死亡リスクが51%減少

 中央値で10.5カ月の追跡の結果、12カ月時点のOS率はプラセボ群の49.4%(95%CI 42.1~56.2%)に対し、ペムブロリズマブ併用群では69.2%(同64.1~73.8%)と高かった。OS中央値は、プラセボ群の11.3カ月(95%CI 8.7~15.1カ月)に対し、ペムブロリズマブ併用群では未到達であり、死亡リスクが有意に51%減少していた〔死亡のハザード比(HR)0.49、95%CI 0.38~0.64、P<0.001、〕。

図.KEYNOTE-189試験:ITT解析集団における全生存期間(OS)

N Engl J Med 2018年4月16日オンライン版)

 プラセボ群に対するペムブロリズマブ併用群の優越性は、PD-L1の発現率で分けた解析でも認められた〔1%未満(HR 0.59)、1~49%(同0.55)、50%以上(同0.42)〕。

PFSは約2倍に延長

 PFS中央値はプラセボ群の4.9カ月(95%CI 4.7~5.5カ月)に対し、ペムブロリズマブ併用群では8.8カ月(同7.6~9.2カ月)と約2倍の有意な延長が認められた(プラセボ群に対する病勢進行または死亡のHR 0.52、95%CI 0.43~0.64、P<0.001)。

 グレード3以上の有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ併用群で67.2%、プラセボ群で65.8%。有害事象による治療中止例はそれぞれ13.8%、7.9%であった。両群で最も多く認められたものは悪心、貧血、疲労、ペムブロリズマブ併用でのみで10%以上の患者に認められたのは下痢であった。ペムブロリズマブ併用群のみで認められたグレード3以上の有害事象は発熱性好中球減少症であった。

 担当医により報告された免疫関連の有害事象はペムブロリズマブ併用群の22.7%で認められ、うちグレード3以上は8.9%、死亡は3例で全例が肺臓炎によるものであった。

 これらの結果から、Gandhi氏らは「未治療の転移性非扁平上皮NSCLCでEGFR 変異またはALK 変異が陰性の患者に対して、ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による標準化学療法にペムブロリズマブを併用することにより、化学療法単独に比べてOS、PFSの有意な延長が示された」と結論している。

(髙田あや)

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