米・HPV関連がん撲滅に向けて共同声明

 米国がん研究協会(AACR)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種率向上とHPV関連がんの蔓延予防に向けたがんスクリーニングを促すため、米国立がん研究所(NCI)が指定したがんセンターと関連団体から成る全国がん組織に参加し、同組織による共同声明を発表した。HPVワクチンの接種が不十分なことは公衆衛生上の脅威となりかねないため、AACRは米国内の医師、親、保護者、若年成人に向け、男女を問わずHPV関連がんを排除するためこの機会を利用してほしいと呼びかけている。

1万7,000例は男性患者

 米疾病対策センター(CDC)によると、ほぼ全ての子宮頸がんおよび、口腔咽頭がん、肛門がん、外陰部がん、腟がん、陰茎がんの大半はHPV関連がんである。HPV関連がんは米国内における公衆衛生上の重要な問題となっている。全国がん組織は、男女を問わないHPVワクチン接種およびエビデンスに基づくがんスクリーニングを通じて、HPV関連がんを完全に排除することを推奨している。

 CDCのデータによると、米国では年間約4万1,000例(子宮頸がん約1万2,000例)が新規HPV関連がんと診断されており、そのうち約1万7,000例は男性である。また、HPV関連疾患の年間医療費総額は少なくとも80億ドルと見積もられている。ワクチン接種と定期的なスクリーニングにより、これらの予防が可能となる。

目標は2020年までに接種率80%

 AACR会長のElizabeth M. Jaffee氏は「ワクチンやスクリーニングなど、HPV関連がんを予防するための安全で効果的なツールは提供されている。しかし、われわれはこれらの予防アプローチが全米の市民には届いていないことを認識しており、これらへの幅広いアクセスを可能にする方法についての課題は残されている」と指摘。「HPV関連がん排除のためには研究者、医療従事者、患者、地域社会のリーダー、政府関係者、科学者などが協力して課題を解決する必要がある」と述べている。

 HPVワクチンは2006年の導入以来、1億回以上分の投与量が全米で流通している。しかし、ワクチン接種完遂率は依然として低いままである。CDCは、全ての若年者がHPVワクチンの接種を受けることを推奨しているが、2016年の接種完遂率(13〜17歳)は、少女で49.5%、少年で37.5%である。この数字は、2020年までに接種率を80%にするという米保健福祉省(HHS)の目標と比べてかなり低い。

ワクチンとスクリーニングでがん排除

 今回の共同声明では、Healthy People 2020と合致した目標として、以下を挙げている。

●2020年までに13〜15歳の男女のHPVワクチン接種率を80%超に上げる
●2020年までに適齢女性の93%に子宮頸がんスクリーニングを行う
●悪性度が高い子宮頸部の前がん病変がスクリーニングで陽性だった女性に対して、迅速なフォローアップと適切な治療を提供する

 さらに、共同声明では「以下のことを強く促進する」としている。

●現時点でワクチン接種を受けていない26歳までの若年男女にワクチン接種を完遂する
●医療従事者が、HPVワクチン接種および子宮頸がんスクリーニングを強く推奨することを明確に示す
●HPV関連がんを排除するゴールについて親、保護者、地域社会の人々、同僚を教育するための米国内の医療コミュニティーをつくる

 声明は「HPVワクチン接種率向上と子宮頸がんのスクリーニング、治療を行うことにより、近い将来の子宮頸がん排除、さらに他のHPV関連がんの除去が実現できるであろう」としている。この声明は、米国がん協会(ACS)、AACR、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、がん予防財団、米国予防腫瘍学会(ASPO)、米国がん研究所協会(AACI:米国とカナダの多数のがん研究センターなどから成る)によりサポートされている。

(慶野 永)

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