発がん物質混入の降圧薬、がんリスクを発表

欧州医薬品庁

 中国・Zhejiang Huahai Pharmaceuticalで製造された高血圧治療薬バルサルタンの原薬に、ヒトで発がんリスクがあるとされるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が混入し回収された問題で、欧州医薬品庁(EMA)はがんリスクの推算結果を含むレビューを8月2日に発表した。NDMAが混入されたバルサルタンを高用量で7年間服用した場合のがん発症リスクは、5,000例に1件の割合であるという。日本では製造販売元であるあすか製薬が、昨年(2017年)9月に既に当該製品の販売を中止。今年7月、市場に残る全てを自主回収した。

NDMAは製造過程を変更した際の副産物

 バルサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の1つだが、Zhejiang Huahai Pharmaceuticalが2012年にバルサルタンの原薬の製造過程を変更した際に、副産物としてNDMAが形成されたと考えられている。NDMAは動物実験の結果から、ヒトにおいては発がん性物質に分類され、一部の食品や飲料水に含まれているものの、極めて少い量を摂取した場合の有害性はほとんどないとされる。

検出量が製品に含まれたと仮定してリスクを算出

 今回、EMAが発表したNDMAに関するレビューは今年7月5日に欧州委員会(EC)が立ち上げたもので、EMAの医薬品委員会(CHMP)によって行われた。

 バルサルタンの原薬から検出されたNDMA 60ppmについて、1日当たりの最高用量である320mgを7年間服用した場合の発がんリスクを算出した。その結果、がんは5,000例に1件の割合で発症すると推算された。

 なお、この結果は60ppmのNDMAがバルサルタンに全て含まれたと仮定した場合の推算値である。EMAは、がんの生涯リスクおよび他のNDMA曝露による影響についても考慮する必要があるとしている。

 レビューでは、バルサルタンを服用した患者が直ちに重大な健康被害を生じるわけではないとしたが、代替薬に切り替えていない患者は医師または薬剤師に相談せずに自己判断で治療を中止しないよう呼びかけている。

(田上玲子)

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