ω3脂肪酸で不安症状が軽減

システマチックレビュー・メタ解析

 ω3脂肪酸の摂取は不安症状を軽減させ、その効果は身体疾患や精神疾患を有する場合に高くなる。国立がん研究センター社会と健康研究センター健康支援研究部長の松岡豊氏、台湾・中國醫藥大學生物醫學研究所教授の蘇冠賓氏らは、不安症状を有する患者を対象にω3脂肪酸の抗不安効果を検討した研究のシステマチックレビューとメタ解析の結果をJAMA Network Open2018; 1: e182327)で報告。今後は、がんサバイバーにおけるアンメット・メディカルニーズであるがん再発への不安を軽減する研究などにω3脂肪酸を応用することが期待されると展望した。

論文19件をメタ解析

 不安症はQOLや社会機能を低下させ、全死亡率を上昇させる。また、がんサバイバーの約半数が中等度以上の、7%は重度のがん再発不安を抱えていることが示されている。

 不安症の治療法には選択的セロトニン再取り込み阻害薬や認知行動療法があるが、前者は鎮静や依存などの副作用が、後者は治療期間、費用、治療経験を有する医師の不足などが問題となっている。

 近年、ω3脂肪酸と不安の関連についての研究が多数行われ、ω3脂肪酸の抗不安効果が期待されている。マウス実験では、ω3脂肪酸を多く含む餌を習慣的に摂取させると、恐怖記憶が軽減されることが報告されている。しかし、既報の臨床研究は規模が小さく、結果のばらつきが大きく、一貫した結論は得られていない。

 そこで松岡氏らは今回、2018年3月4日までに発表された研究論文のシステマチックレビューを行い、適格基準(健康者、精神疾患患者、身体疾患患者を対象にω3脂肪酸の抗不安効果を評価したランダム化・非ランダム化臨床試験)を満たした論文19件を抽出、メタ解析を行った。

 論文19件のω3脂肪酸摂取群1,203例(うち日本人179例、平均年齢43.7歳、女性55%、1日当たりのω3脂肪酸平均摂取量1,605.7mg/日)と非摂取群1,037例(同183人、40.6歳、55%)を対象にメタ解析を行ったところ、非摂取群と比べて摂取群で不安症状が有意に軽減していた(効果量0.374、95%CI 0.081~0.666、P=0.01)。

 層別化したサブ解析の結果では、身体疾患や精神疾患が診断された患者において診断されていない患者よりもω3脂肪酸による抗不安効果が大きかった。

1日2,000mg以上摂取で効果

 さらに、1日2,000mg以上のω3脂肪酸摂取で抗不安効果が認められる一方、2,000mg未満では効果が認められないことが明らかになった。

 松岡氏らは「今後は1日当たりのω3脂肪酸摂取量を2,000mg以上に設定し、身体疾患患者や精神疾患患者を対象とした大規模臨床試験でω3脂肪酸による抗不安効果を検証する必要がある。同時に、魚由来のエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸と、植物由来のアルファリノレン酸のいずれが不安軽減に最も有効であるかを検討する必要もある」と指摘した。

 さらに「がんサバイバーでは、再発への不安と血中ω3脂肪酸濃度の関連を観察研究で確認する必要がある。両者に関連が認められれば、がんサバイバーにおけるがん再発の不安軽減を目的としたω3脂肪酸摂取に関する臨床試験を行い、科学的根拠に基づく機能性食品の開発につながることが期待される」と展望している。

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(大江 円)

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