AIによる皮膚腫瘍の鑑別、専門医より正確に

画像用いた学習で14種を識別可能

 皮膚疾患の診断において視診は重要である。しかし、”悪性黒色腫”と”ホクロ”のように非常に外見が似通い、視診による鑑別が難しいケースもあるため、これまで画像診断技術を用いた鑑別に関する研究が行われてきた。筑波大学皮膚科教授の藤本学氏らは、人工知能(AI)を利用した皮膚腫瘍の診断補助システムを開発した。同システムでは、AIの学習に必要な画像数を従来の半数以下に抑えつつ、一般的な皮膚科専門医より正確に14種の皮膚腫瘍を鑑別診断できたという。この研究成果はBr J Dermatol2018年6月14日オンライン版)に掲載された。

医師不足の地域で活用を

 藤本氏らは診断補助システムの開発に当たり、同大学の病理組織検査で診断が確定した14種の皮膚腫瘍の画像を中心に約6,000枚分のデータを収集。AIのディープラーニングに用いた。

 ディープラーニングとは、生体の脳の情報処理を人工的に模倣したニューラルネットワークを多層構造とし、画像などのデータに含まれる特徴をより詳細に学習する技術で、通常であれば皮膚腫瘍1種につき1,000枚、計1万4,000枚以上の画像が必要となる。

 しかし、同システムでは、使用する臨床画像の大半について、病理組織診断を経た質の高いものを使用し、ディープラーニング前に実施する画像処理方法を工夫することで前述した約6,000枚に抑えることができた。

 このようにして開発した同システムの有効性を検討するため、同氏らは14種の皮膚腫瘍画像から良性と悪性を識別する検査を実施。その結果、同システムにおける良性と悪性の識別率は対照とした日本皮膚科学会認定皮膚科専門医13人の識別率より有意に高く()、さらに難度が高い各皮膚腫瘍の詳細な診断正答率についても、同システムは74.5±4.6%(標準偏差、以下同じ)、皮膚科専門医は59.7±7.1%となり、有意差が見られた(P<0.0001、ウェルチのt 検定)。

図. 皮膚腫瘍の良性、悪性識別率の比較(AIを用いた診断補助システムと皮膚科専門医)

(プレスリリースを基に編集部作成)

 このシステムについて、同氏らは「十分な性能評価を行った上で数年以内に実臨床に導入し、皮膚科専門医が不足している地域の診療に活用したい。また、対応できる皮膚腫瘍の種類を増やすだけでなく、他のあらゆる皮膚疾患に対応できるようバージョンアップを進めていきたい」と展望している。

陶山慎晃

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