アザチオプリンが皮膚がんリスクに

ゲノム解析で新規変異シグネチャー同定

 免疫抑制薬アザチオプリンが、皮膚扁平上皮がんの発症リスクを高めることが明らかになった。英・Jacqui Wood Cancer Centre, University of DundeeのGareth J. Inman氏らが、皮膚扁平上皮がん37検体のゲノム変異パターンの解析から、アザチオプリンへの慢性曝露に関連する新規の変異シグネチャー32を同定したとNat Commun(2018; 9: 3667)で報告した。同薬投与患者では通年の日焼け防止が必要であるという。

ルーチン管理として日焼け対策を

 英国では、新規に診断される皮膚扁平上皮がん患者が年間4万人以上に上り、医療経済的影響も大きい。アザチオプリンの使用は皮膚の長波紫外線A波(UVA、320~400nm)感受性を高め、皮膚がんの発症要因になりうることは知られていた。がんなどの慢性皮膚障害では、DNAを直接傷害する中波の紫外線B波(UVB、280~320nm)が主に影響するが、真皮まで到達するUVAの作用も無視できない。臓器移植時の免疫抑制患者は皮膚扁平上皮がんリスクが100倍以上と報告されている。

 共同研究者で同大学のCharlotte M. Proby氏は「アザチオプリン投与患者には、通年の日焼け防止を含め、UVA回避について適切に助言するよう勧める。日焼け防止、皮膚観察および早期診断・病変切除をルーチン管理の一部とすることが重要になる」と指摘している。

新規シグネチャーは投与期間と関連

 皮膚扁平上皮がんは、全エクソームシークエンス(WES)で変異量がメガベース当たり平均50個と高度である。今回の研究は、アザチオプリンの使用が皮膚がんに分子フィンガープリントを残し、それが発がんに関与することを明らかにした。Inman氏らは、原発性皮膚扁平上皮がん患者37例から得られた40検体(高分化型20、中/低分化型20)中37検体のWESおよび変異シグネチャー解析を実施。37例中、臓器移植レシピエント29例とクローン病1例に免疫抑制薬が投与されていた。

 体細胞変異パターンのコンピュータ解析により、30個の変異シグネチャーが同定されている(Catalogue Of Somatic Mutations In Cancer;COSMIC)。今回の解析の結果、33検体で紫外線放射(UVR)が原因とされ頭頸部がんなどで同定されたシグネチャー7が観察された。新たに同定されたシグネチャー32は、主にC>T変異(75%)と、C>A、T>AおよびT>C変異が見られ、高分化型、中/低分化型の両方の27検体で観察された。この変異パターンは、アザチオプリン投与期間と相関していた。

 同氏は「今回の研究では対象患者数が少なく、この結果はより大規模な独立コホートで検証すべきだが、この分子研究は新規変異シグネチャーとアザチオプリン長期使用との関連を明らかにした」と述べている。

(坂田真子)

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