卵巣がん


連載

独自取材

オラパリブ、卵巣がん維持療法で劇的効果

2018-11-01
Oncology Tribune

BRCA遺伝子変異陽性患者の一次治療:第Ⅲ相試験SOLO-1

 BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん新規診断例に対する一次治療後の維持療法において、PARP阻害薬であるオラパリブの投与により、病勢進行または死亡のリスクが70%低下したとする第Ⅲ相試験SOLO-1の結果が明らかになった。米・University of OklahomaのKathleen Moore氏らが欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2018、10月19~23日、ミュンヘン)で発表。N Engl J Med2018年10月21日オンライン版)に同時掲載された。


一次治療後に70%が再発


 進行卵巣がんの新規診断例に対しては、標準治療として腫瘍縮小手術とプラチナ製剤ベースの化学療法が実施されている。しかしMoore氏らによると、標準治療を行っても約70%で3年以内に再発することが報告されているという。こうした中、オラパリブは卵巣がんの再発例に対する有効性が示されており、BRCA遺伝子変異の有無を問わずプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療薬として世界各国で承認されている。しかし、新たに卵巣がんと診断された患者の維持療法における同薬の有益性は不明だった。


 そこで、同氏らはBRCA遺伝子変異を有する進行卵巣がんの新規診断例に対する一次治療後の維持療法におけるオラパリブの有効性を検証するため、15カ国で二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相ランダム化比較試験SOLO-1を実施した。


 同試験では、BRCA1BRCA2のいずれか、または両方の遺伝子変異を有する進行〔国際産科婦人科連合(FIGO)進行期分類でステージⅢ/Ⅳ〕卵巣がんと新たに診断された18歳以上の患者でプラチナ製剤ベースの化学療法による一次治療を受け、完全奏効または部分奏効が認められた391例をオラパリブ300mg1日2回投与群(260例)とプラセボ群(131例)に2:1でランダムに割り付けた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は二次進行、全生存期間(OS)、ランダム化割り付けから最初の後治療開始までの期間などとした。


 追跡期間は中央値で41カ月(オラパリブ群40.7カ月、プラセボ群41.2カ月)、2年時の治療完遂率はそれぞれ47%、27%だった。


PFSの感度解析では36カ月の差


 解析の結果、3年時の研究グループの評価による無増悪生存率はプラセボ群の27%に対してオラパリブ群では60%で、プラセボ群と比べてオラパリブ群では病勢進行または死亡のリスクが70%低かった〔ハザード比(HR)0.30、95%CI 0.23~0.41、P<0.001、〕。追跡41カ月後の時点におけるPFSの中央値は、プラセボ群の13.8カ月に対してオラパリブ群では未到達だった。


図.担当医評価によるPFS


 


N Engl J Med 2018年10月21日オンライン版)


 また、3年時の盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存率はプラセボ群の35%に対してオラパリブ群では69%で(病勢進行または死亡のHR 0.28、95%CI 0.20~0.39、P<0.001)、研究グループの評価による無増悪生存率の結果と一貫していた。さらに、研究グループの評価によるPFSの感度解析からは、PFSの中央値がプラセボ群と比べてオラパリブ群では約36カ月も延長していることが示された。なお、研究グループの評価による無増悪生存率は1年時でオラパリブ群88%、プラセボ群51%、2年時でそれぞれ74%、35%、3年時で60%、27%、4年時で53%、11%だった。


 副次評価項目については、3年時で二次進行(または死亡)が見られなかった患者の割合は、オラパリブ群で75%、プラセボ群で60%だった(二次進行または死亡のHR 0.50、95%CI 0.35~0.72、P<0.001)。OSについては中間解析が実施され、3年時の全生存率はオラパリブ群で84%、プラセボ群で80%だった(死亡のHR 0.95、95%CI 0.60~1.53)。


 安全性プロファイルに関しては、再発例を対象とした過去の臨床試験の結果と一貫していた。試験期間中に発現した有害事象はほとんどがグレード1/2で、重篤な有害事象の発現率はオラパリブ群が21%、プラセボ群が12%で、最も高頻度で見られたのは貧血だった(オラパリブ群7%、プラセボ群なし)。治療薬の減量または中止を要する有害事象の発現率も比較的低かった。


治癒の可能性も視野に


 以上の結果を踏まえ、Moore氏らは「新たに進行卵巣がんと診断された女性において、プラチナ製剤ベースの化学療法後の維持療法としてオラパリブを投与することでPFSに大きなベネフィットがもたらされた」と結論している。


 また、同氏らは「今回、感度解析で示されたプラセボ群に対するオラパリブ群でのPFS延長の絶対差は、これまでに報告されている再発例で示されたPARP阻害薬によるPFSの延長期間を大幅に上回っていた」と指摘。さらに、「SOLO-1試験に参加した患者の一部は2年時で治療を中止することができ、その後数カ月にわたって治療なしで病勢進行が見られていない」と説明し、「治癒が期待できる卵巣がん患者は進行卵巣がんの新規診断例のみといえる。引き続き対象を追跡し、オラパリブによる長期的なベネフィットが持続して見られるかどうか、あるいは治癒に導くことができるかどうかを評価する必要がある」と述べている。


(岬りり子)