前立腺がん

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5α-還元酵素阻害薬で前立腺がん特異的死亡および全死亡が上昇

2019-05-09
JAMA Intern Med
推薦記事 赤倉 功一郎 氏 JCHO東京新宿メディカルセンター 副院長・泌尿器科部長

Association of Treatment With 5α-Reductase Inhibitors With Time to Diagnosis and Mortality in Prostate Cancer.


 米国では前立腺肥大症の治療に一般的に用いられている5α-還元酵素阻害薬(日本での適応は男性型脱毛症のみ)は、血液中の前立腺特異抗原(PSA)を50%低下させる。しかしながら、PSAスクリーニング集団における前立腺がん検出と5α-還元酵素阻害薬使用との関連は不明である。
 本研究は人口ベースのコホート研究で、米国退役軍人省(VA)データベースとNational Death Index(NDI)を紐づけて、2001年1月1日~2015年12月31日に対がん米国合同委員会(American Joint Committee on Cancer:AJCC)のステージ分類でⅠ~Ⅳの前立腺がんと診断された男性患者8万 875例のデータを抽出。患者は2017年12月31日または死亡まで追跡され、2018年3~5月にデータ解析が行われた。
 主要評価項目は、前立腺がん特異的死亡率(PCSM)。年齢中央値は66歳で、追跡期間中央値は5.90年だった。
 前立腺がん診断前の5α-還元酵素阻害薬使用の有無により比較したところ、前立腺生検の日時が不明な症例群では、調整PSA上昇から診断までの期間の中央値は5α-還元酵素阻害薬を使用していない群(5-ARI nonusers)では1.40年(95%CI 0.38~3.27年)であったのに対し、5α-還元酵素阻害薬使用群(5-ARI users)では3.60年(同1.79~6.09年)と有意(P<0.001)に長かった。
 生検時の調整PSA中央値は、5-ARI non-usersの6.4 ng/mLに対し、5-ARI usersでは13.5 ng/mLと有意(P<0.001)に高かった。また、5-ARI usersではGleason grade 8以上の症例の割合が高く(25.2% vs. 17.0%、P<0 .001)、臨床病期T3以上 (4.7% vs. 2.9%、P<0.001)、リンパ節転移陽性(3.0% vs. 1.7%、P<0 .001)、転移性(6.7% vs. 2.9%、P<0.001)の割合が5-ARI nonusersに比べて高かった。
 さらに多変量回帰分析では、5-ARI usersでは5-ARI non-usersに比べて、PCSM〔subdistribution ハザード比(SHR)1.39、95%CI 1.27~1.52、P<0.001〕、全死亡率が高かった(HR 1.10、95%CI 1.05~1.15、P<0.001)。

■推薦コメント

 5α-還元酵素阻害薬と前立腺がんを巡っては、前立腺がんの診断率の低下、悪性度の高い前立腺がんの増加の可能性、PSA減少により前立腺がんがマスクされるリスクなど、さまざまな論点があります。

(赤倉功一郎氏)



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