前立腺がん

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前立腺がんにおけるリキッドバイオプシーは臨床応用可能か?【European Urology】

2019-05-13
European Urology
推薦記事 赤倉 功一郎 氏 JCHO東京新宿メディカルセンター 副院長・泌尿器科部長

Clinical Utility of Circulating Tumour Cell Androgen Receptor Splice Variant-7 Status in Metastatic Castration-resistant Prostate Cancer.

 アンドロゲン受容体(AR)活性を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんにおいて、抹消循環血中腫瘍細胞(CTC)のアンドロゲン受容体の変異体(AR-V7)の検出はARシグナル伝達を阻害する新規ホルモン治療薬の転帰不良と関連するとされているが、組織生検との比較についての報告はほとんどない。本研究では、AdnaTestによるCTC解析結果と臨床的特徴、CELLSEARCHによるCTC数、組織生検との同一性を検討した。
 転移性去勢抵抗性前立腺がん患者181例の277の末梢循環血サンプル中、CTC陰性は34%、CTC陽性/AR-V7陰性は31%、CTC陽性/AR-V7陽性は35%であり、CTC陽性/AR-V7陽性群はCELLSEARCH解析によるCTC数、タキサン治療歴が有意に多く、ECOG PS、アルカリホスファターゼ値、乳酸デヒドロゲナーゼ値、前立腺特異抗原(PSA)値が有意に高く、ヘモグロビンが有意に低いなど、より高い疾患負荷と関連することが認められた。
 CELLSEARCHによるCTC解析を行った136例(202サンプル)の検討では、CTC陽性/AR-V7陰性群のCTC数はCELLSEARCHのCTC数と有意な相関があった。しかし、CTC陰性群はCTC陽性群と比べてCELLSEARCHのCTC数が有意に少なく、さらに、CTC陽性/AR-V7陰性群はCTC陽性/AR-V7陽性群と比べてCELLSEARCHのCTC数が有意に少なかった。
 組織生検を行った58例(212サンプル)の検討では、CTC陽性/AR-V7陰性群は他の群と比べて生検結果との一致度が高かったが、偽陽性および偽陰性も認められた。
 162例(162サンプル)による全生存期間(OS)の検討では、CTC陽性/AR-V7陽性患者のOSはCTC陰性群よりも有意に短かったが〔ハザード比(HR) 2.13(95%CI 1.23〜3.71、P=0.02〕、CTC+/AR-V7-患者との差は認められなかった〔HR 1.26(95%CI 0.73〜2.17)、P=0.4)。

European Urology 2019年4月27日オンライン版

■推薦コメント
抹消循環血中腫瘍細胞を用いたAR-V7の検索は、新規ホルモン治療薬の有効性を予測する手段として、注目されてきました。しかし、本研究により、再現性や腫瘍本体との不一致などの多くの課題があることが明らかになりました。実臨床への応用はまだ先のようです。

(赤倉功一郎氏)