前立腺がん

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前立腺がんにおける網羅的ゲノム解析の意義【JCO Precis Oncol】

2019-07-08
JCO Precis Oncol
推薦記事 赤倉 功一郎 氏 JCHO東京新宿メディカルセンター 副院長・泌尿器科部長

Prospective Comprehensive Genomic Profiling of Primary and Metastatic Prostate Tumors

 前立腺がん発症に関与するゲノム変化は原発腫瘍のプロファイリングにより解明されており、網羅的ゲノム解析は日常臨床に普及しつつある。本研究では前立腺がん患者3,476例の組織標本(原発部位1,660サンプル、転移部位1,816サンプル)を遺伝子パネル検査(FoudationOne CDx)により前向きに検討。

 57%にゲノム異常が認められ、主な異常はTP53 (43.5%)、 PTEN (32.2%)、 TMPRSS2-ERG (31.2%)、AR (22.5%)であった。DNA修復経路、PI3K経路、RAS/RAF/MEK経路において治療標的となるゲノム異常が高頻度に認められた。DNA修復経路のゲノム異常には相同組換え(23.4% )、ファンコーニ貧血/ICL修復経路(4.8%)、CKD12(5.6%)、ミスマッチ修復(4.3%)が含まれた。

 BRCA1/2、ATR、FANCAの異常はゲノムワイドなLOH(loss of heterozygosity:ヘテロ接合性の消失)の高さと関連していた。TMB(Tumor Mutation Burden:腫瘍遺伝子変異量)の中央値は2.6変異/Mbと低かったが、TMBが高い症例ではマイクロサテライト不安定性が高い症例が多かった。転移部位では原発部位と比べて11q13領域(CCND1/ FGF19/FGF4/FGF3)、AR、LYN、MYC、NCOR1、PIK3CB、RB1が増幅していた。

JCO Precis Oncol 2019年5月10日オンライン版

■推薦コメント

 いま話題のゲノムプロファイルに関する研究です。まだ観察されたゲノム変異の結果をまとめている段階ですが、将来的にはこれらの結果に基づく治療選択の決定や新たな治療標的の開発など、さまざまな臨床応用が期待されます。

(赤倉功一郎氏)