前立腺がん

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医師注目

CRPCの至適な逐次療法:カバジタキセルがアビラテロン、エンザルタミドよりも優れる【NEJM】

2019-10-01
NEJM
推薦記事 赤倉功一郎 氏 JCHO 東京新宿メディカルセンター 泌尿器科 副院長・部長

Cabazitaxel versus Abiraterone or Enzalutamide in Metastatic Prostate Cancer

N Engl J Med 2019年9月30日オンライン版



 ドセタキセルによる治療後、新規ホルモン療法薬(抗アンドロゲン薬)のアビラテロンまたはエンザルタミドにより治療しているにもかかわらず1年以内に病勢進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、新規タキサン系化学療法薬カバジタキセルについて、別の新規ホルモン療法薬と比べた有効性および安全性は不明である。

 本検討では、ドセタキセルとアビラテロンまたはエンザルタミドによる治療歴があるmCRPC患者255例が、カバジタキセル(3週毎に25mg/m2を静注)+プレドニゾン+顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を併用する群(カバジタキセル群)と別の新規ホルモン療法薬(アビラテロン1,000mg+プレドニゾンまたはエンザルタミド160mg)を投与する群(ホルモン療法薬群)に1:1にランダムに割り付けられ、比較検証された。主要評価項目は画像評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は生存期間、奏効率、安全性であった。
 
 追跡期間中央値9.2カ月の結果、画像評価による病勢進行または死亡を認めた患者は、カバジタキセル群で95/129例(73.6%)、ホルモン療法薬群で101/126例 (80.2%)であった(HR 0.54、95%CI 0.40~0.73、P<0.001)。画像評価によるPFS中央値は、ホルモン療法薬群の3.7カ月に対し、カバジタキセル群では8カ月と有意な延長を認めた(HR 0.54、95%CI 0.40~0.73、P<0.001)。全生存期間の中央値においても、ホルモン療法薬群の11.0カ月に対し、カバジタキセル群では13.6カ月と有意な延長を認めた(HR 0.64、95%CI 0.46~0.89、 P=0.008)。またカバジタキセル群、ホルモン療法薬群でそれぞれ、痛みや症状の進行も含めた評価によるPFS中央値は4.4カ月、2.7カ月(HR 0.52、95%CI 0.40~0.68、P<0.001)。前立腺特異的抗原反応は35.7%、13.5%(P<0.001)、腫瘍反応率は36.5%、11.5%(P=0.004)、グレード3以上の有害事象発現率は56.3%、52.4%であった。

■推薦コメント

 転移性去勢抵抗性前立腺がんに対して有効性を示す薬剤として、アビラテロン・エンザルタミド(新規ホルモン療法薬)、ドセタキセル・カバジタキセル(化学療法薬)、ラジウム-223(放射線内用治療薬)などがわが国でも認可発売されています。しかし、どういう順番で治療薬を選択すべきかの逐次療法については、定まっていませんでした。本研究では、ドセタキセルおよびアビラテロン/エンザルタミドで治療された患者において、カバジタキセルの方が別の新規ホルモン治療薬よりも優れていることが示されました。この結果は治療アルゴリズムを構築するうえで極めて重要と考えます。

(JCHO東京新宿メディカルセンター 副院長・泌尿器科部長 赤倉功一郎氏)