乳腺

論文紹介

乳がんに対する多重遺伝子検査、全患者実施で高い費用効果【JAMA Oncol】

2019-10-16
JAMA Oncology

A Cost-effectiveness Analysis of Multigene Testing for All Patients With Breast Cancer.

JAMA Oncology 2019年10月3日オンライン版

 全乳がん患者に多重遺伝子検査を適用すると、プレシジョン・メディシンによりベネフィットがより得られる患者集団を同定できると考えられるが、その費用対効果についてはまだよく分かっていない。本検討では、全乳がん患者に対する多重遺伝子検査が寿命に与える影響、費用、費用対効果を推定するため、現在広く行われている家族歴や診断基準に基づいて実施されているBRCA1/2検査と比較した。
 対象は、英国と米国の4つの調査研究に登録された乳がん患者1万1,836例。対象は、選択なしにRCA1/BRCA2/PALB2検査を実施するA群と家族歴または臨床基準に即してBRCA1/2検査を実施するB群に分けた。遺伝子検査陽性の患者および血縁者は、必要に応じて予防的乳房切除や卵管卵巣摘出術などを受けることができることとした。主要評価項目は、生存年数とQOL(Quality of Life)の両方を考慮したQALYから求めた増分費用対効果で、英国および米国の標準的な値である£30,000と$100,000を閾値に設定した。
 その結果、全例にBRCA1/BRCA2/PALB2検査を実施した場合のQALYは、家族歴または臨床基準を満たした患者のみBRCA検査を実施した場合と比べて、英国では £10,464/QALY (支払者の視点) または £7,216/QALY (社会の視点) 、米国では $65,661/QALY または $61,618/QALYであった。確率的感度分析では、患者背景を問わずに遺伝子検査をすることで、検査の98~99%(英国)、64~68%(米国)で費用対効果が認められた。また、患者背景を問わない検査を行うことで、1年間に英国で2,101件の乳がんおよび卵巣がん、633件の死亡、米国でそれぞれ9,733件、2,406件回避出来ることが示唆された。