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食品成分がmRNAのスプライシングを調節することを解明:フラボノイドによるがん予防の可能性

2019-11-29
名古屋市立大学

 がんは、メッセンジャーRNA(mRNA)のスプライシングを阻害する薬剤に対して高い感受性を示す場合があります。もし食品成分中にスプライシングを制御する活性があれば、がんの予防に役に立つ可能性があります。そこで、京都大学大学院生命科学研究科 増田誠司 准教授、名古屋市立大学大学院医学研究科 渋谷恭之教授らの研究グループは、スプライシングを阻害できるような成分を食品中から探索しました。その結果、ポリフェノールの仲間のフラボノイドに属するアピゲニンとルテオリンが効果的にスプライシングを調節することを見つけました。これらは食品の中ではパセリやセロリに多く含まれている成分です。次に、アピゲニンとルテオリンが細胞の中でどのように働いているかについて調べたところ、スプライシングを行うスプライソソームの中の SF3B1 という因子に結合して、様々な mRNA のスプライシングパターン(選択的スプライシング)を変えていることがわかりました。これは食品成分としては初めての知見となります。また、正常細胞よりもがん細胞に対して、より増殖を阻害することもわかりました。これまでは、マウスに移植したがん細胞の増殖をアピゲニンやルテオリンで抑制できることが知られていましたが、今回の発見は、これらフラボノイドががん細胞の増殖を抑制できる根拠となる成果だといえます。このような化合物を含む食品の摂取によってがんの予防が可能かどうかについては、今後の研究が必要です。
 本成果は、2019 年11月20 日に米国の国際学術誌「iScience」(筆頭著者:名古屋市立大学・京都大学の倉田雅志氏)にオンライン掲載されました。