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論文紹介

新型コロナ感染症、がん患者は予後不良:中国発の前向きコホート【Lancet Oncol】

Cancer patients in SARS-CoV-2 infection: a nationwide analysis in China

Lancet Oncology 2020年2月14日オンライン版

 新型コロナウイルス(2019-nCoV)による死亡はSARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と異なり呼吸不全ではなく多臓器不全症候群によって引き起こされている。がん患者は化学療法や手術などにより全身性の免疫抑制状態にあるため、非がん患者よりも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクが高く予後不良な可能性がある。
 本研究は中国全土でCOVID-19症例を監視するための前向きコホートで、2020年1月31日のデータカットオフの時点で、31の地方行政区域の575の病院から2,007例の症例を収集して分析。 すべての症例はCOVID-19急性呼吸器疾患と診断され入院した。 以前の病歴の記録が不十分な417例は除外した。結果は以下の通り。

・1,590例中18例(1%)にがんの既往があり、中国におけるがん発症率(0.29%)よりも高かった。
・がん種は肺がんが5例(28%)と最も多かった。
・16例中4例が過去1カ月以内に化学療法もしくは手術を受け、残りの12例は一次切除後のフォローアップ中であった。
・非がん患者と比べて年齢が高く(63.1歳 vs 48.7歳)、喫煙歴が高い可能性があり(22% vs. 7%)、頻呼吸が多く(47% vs. 23%)、CT所見が悪い例が多かった(94% vs 71%)。
・最も重要な点として、非がん患者と比べて重篤なイベント(死亡もしくはICUで気管挿管)のリスクが有意に高く(39% vs. 8%、P=0.0003)、医師の評価を加味しても同様の結果であった(50% vs. 16%、P=0.0008)。
・1カ月以内に化学療法もしくは手術を行った例は重篤なイベントのリスクが高く(75% vs. 43%)、年齢、喫煙歴、合併症などの危険因子を調整後のオッズ比は5.34であった(P=0.0026)。
・がん患者において、高齢は唯一の危険因子であった(オッズ比1.43、P=0.072)。
・肺がん症例は他のがん症例と比べて重篤なイベントのリスクが低かった(20% vs. 62%、P=0.294)。
・がん患者は非がん患者と比べて急速に悪化することが示された(イベント発生までの日数:13日 vs. 43日、HR 3.56、P<0.0001)。

2020-02-21
Lancet Oncology