前立腺がん

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前立腺がん診断におけるMRI標的生検、系統的生検、その併用生検による違いは?【NEJM】

推薦記事 赤倉功一郎 氏 JCHO 東京新宿メディカルセンター 泌尿器科 副院長・部長

 系統的12コア前立腺生検(系統的生検)は、過剰および過少診断の可能性があるが、MRIを用いた生検を併用することで、こういった誤診断を減らせる可能性があり、これらを検証すべく本検討は行われた。
 対象は、MRIで前立腺病変が確認でき、MRIを用いた生検(MRI標的生検)および系統的生検を行った男性。主要評価項目はグリソン分類に基づくグレード分類ごとのがん検出率であった。根治的前立腺全摘手術を行った患者では、生検から全組織標本に変更し、グレードの変更を行った場合は記録された。
 計2,103例が系統的生検またはMRI標的生検あるいはその併用を行った。解析の結果、両生検の併用で1,312例ががんと診断され、404例が根治的前立腺全摘手術を受けた。MRI標的生検のがん検出率は、系統的生検と比較して、グレード分類1では有意に低かったが、グレード分類3~5では有意に高かった(P<0.01)。生検の併用はいずれか一方の生検のみと比較して208例のがん検出に、458例のグレード分類アップにつながっていた。しかし、MRI標的生検のみを行った場合、グレード分類3以上の8%で誤診断をもたらした。根治的全摘手術を行った404例のうち、グレード分類3以上にアップした割合は、生検の併用(3.5%)が最も低く、次いでMRI標的生検(8.7%)、系統的生検(16.8%)であった。

■監修医師コメント

 前立腺癌診断とくに臨床的に意義のある癌の診断において、MRIの有用性が提唱されています。そして、MRIで検出された病変に対するMRI-TRUS融合生検(標的生検)も普及してきました。本研究では、従来の無作為系統的生検とMRI標的生検の意義について比較的多数例を用いて検討されました。特筆すべきは、前立腺全摘除術の摘出標本の病理所見も検索されたことです。結果として、無作為系統的生検とMRI標的生検の併用が最も優れていることが示されました。この結果は、MRIによる癌病巣検出能の限界、MRI-TURS融合生検の技術的問題、前立腺癌の多中心性発生、などの点が背景にあると思われます。

(JCHO東京新宿メディカルセンター 副院長・泌尿器科部長 赤倉功一郎氏)

2020-03-05
NEJM