乳腺

プレスリリース

低酸素誘導因子GLIS1はWNT5Aの活性化を介して乳がん細胞の遊走・浸潤を促進【広島大学】

 広島大学原爆放射線医科学研究所放射線災害医療開発研究分野の島本和美氏、講師の谷本圭司氏、教授の廣橋伸之氏、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設ライフサイエンス統合データベースセンター特任准教授の坊農秀雅氏、特任助教の小野浩雅氏、順天堂大学大学院 准教授の江口英孝氏らの研究グループは、低酸素環境で活性化し、がん細胞の遊走・浸潤を促進して放射線抵抗性を促進する分子であるGLIS1を発見した。

ポイント
・急速に増殖を続ける乳がんなどの固形がん内部は、酸素供給不足から低酸素環境となっている。そのような環境下のがん細胞は化学療法や放射線療法に抵抗性を示し、患者の予後不良と関係する
・本研究では、低酸素環境で活性化し、がん細胞の遊走・浸潤を促進して放射線抵抗性を促進する分子GLIS1を発見
・GLIS1は多くの遺伝子をコントロールし、特にがん細胞浸潤に関わるWNT5Aの発現を増加させ、がんの浸潤を促進している事が明らかとなった
・データベース解析から、治療法の確立されていない進行乳がんにおいて、GLIS1発現が高い患者は予後不良である事が明らかとなった。さらに、低酸素で働く他の転写因子などと比較し、ヒト正常細胞における GLIS1発現は明らかに低いため、副作用の少ない治療標的となり得る可能性が示された

 本研究結果は Carcinogenesis 2020年3月11日オンライン版に掲載された。

2020-03-12
広島大学