前立腺がん

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前立腺がんのアンドロゲン除去療法によりSARS-CoV-2感染リスクが減少【Ann Oncol】

推薦記事 赤倉功一郎 氏 JCHO 東京新宿メディカルセンター 泌尿器科 副院長・部長

Androgen-deprivation therapies for prostate cancer and risk of infection by SARS-CoV-2: a population-based study (n=4532)

Ann Oncol 2020年5月6日オンライン版

 SARS-CoV-2感染にはACE2とTMPRSS2が重要な役割を担うため、TMPRSS2の阻害はSARS-CoV-2感染を抑制する可能性がある。TMPRSS2-ERGは代表的な前立腺癌特異的融合遺伝子であり、アンドロゲン除去療法(ADT)はTMPRSS2発現を低下させることが知られている。
 本検討はイタリアのヴェネト州の68施設のSARS-CoV-2感染患者9,280例(男性4,523例)を対象に調査を実施。対象全体のがん罹患率は8.5%(786例)で男性に限ると9.5%(430例)、前立腺がんは2.6%(118例)だった。ヴェネト州の男性人口を考慮すると、非がん患者の感染率は0.2%、がん患者では0.3%であり、COVID-19症状は女性と比べて重篤で入院頻度が高く、予後不良だった。
 ADTを行わなかった前立腺がん患者と比べ、ADTを行った患者はSARS-CoV-2感染リスクが有意に低く(OR 4.05、95%CI 1.55〜10.59)、他のがん種の患者と比べても感染リスクが低かった(OR 5.17、95%CI 2.02〜13.40)。

■監修医師コメント

 COVID-19に関しては、男性が女性に比べて感染および重症化のリスクが高いことが各国から報告されています。SARS-CoV-2ウィルスとTMPRSS2の関連に対するアンドロゲンの役割が示唆され、アンドロゲン除去療法は感染を抑制する可能性が示されました。実臨床においては、COVID-19への対応として、前立腺がんに対するホルモン療法を休止する必要がないと考えられます。がん治療学会ガイドラインなどでも同様の見解が示されています。

(赤倉功一郎氏)

2020-05-11
Ann Oncol