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プレスリリース

ナノ粒子のステルス性の向上に成功、がん治療効果と安全性の飛躍的な向上に期待

 京都大学人間・環境学研究科の小松直樹教授、Yajuan Zou同博士課程学生らの研究グループは、伊藤慎二医学研究科特定助教、鈴木雄太白眉センター特定助教、吉野芙美滋賀医科大学医員、Li Zhao蘇州大学准教授と共同で、ポリグリセロール(PG)という高分子で表面を被覆したナノ粒子ががん治療に役立つ優れたステルス性を示すことを明らかにしました。

 抗がん剤をナノ粒子に固定してがん組織に送り込む、薬物送達システム(DDS)は、がんの治療に使われています。このナノ粒子は多くの場合、ポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる高分子で被覆されています。しかし近年、PEGの免疫応答や薬物送達効率の問題が指摘され、より安全で効率の良いDDSが模索されてきました。

 本研究では、PGで被覆したナノ粒子を、PEGで被覆したそれと比較したところ、ナノ粒子表面に吸着されるタンパク質の量が格段に減り、その結果、肝臓に多く存在するマクロファージ (貪食細胞)に捕食されるナノ粒子の量も飛躍的に少なくなることを発見しました。これは、ナノ粒子が捕食を回避するステルス性の著しい向上を示しており、DDSによるがん治療法の発展に大きく寄与すると期待されます。

 本研究成果は、2020年5月8日に、国際学術誌「ACS Nano」のオンライン版に掲載されました。

2020-06-02
京都大学