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プレスリリース

オートファジー細胞死を誘導する抗体-超分子結合体の設計 ―がん治療のための新規ナノ材料として応用に期待―

 東京医科歯科大学生体材料工学研究所有機生体材料学分野の西田慶博士(現九州大学)、田村篤志准教授、由井伸彦教授らの研究グループは、超分子ポリマーであるポリロタキサンがオートファジー細胞死を誘導することを報告してきましたが、がん細胞への選択性がないことや細胞内に取り込まれにくいことが、がん治療への応用における課題でした。本研究では、ポリロタキサンとがんを標的とする抗体を結合させた「抗体-超分子結合体」を世界に先駆けて設計し、これらの課題を克服することに成功しました。

【ポイント】
・環状糖類であるメチル化 β-シクロデキストリン(Me-β-CD)の空洞部に高分子鎖が貫通した超分子ポリマーであるポリロタキサン(Me-PRX)は、細胞内で Me-β-CD を放出することでオートファジー細胞死を誘導します。
・この Me-PRX とがん細胞に対する抗体(Trastuzumab)との結合体(Tras-Me-PRX)は HER2 陽性細胞に対して選択的、かつ効率的に取り込まれ、Me-PRX の課題であったがん細胞選択性の問題を克服しました。
・Tras-Me-PRX は HER2 陽性細胞に対して、従来の Me-PRX よりも 10~60 分の 1 の濃度でオートファジー細胞死を誘導することを明らかにしました。
・本研究で提唱した、抗体-超分子結合体の概念は、治療抵抗性を獲得したがんの化学療法における新たなプラットフォームとしての応用が期待されます。

2020-07-03
東京医科歯科大学