前立腺がん

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高リスク前立腺がんにドセタキセルによる術前化学内分泌療法は有効か【JCO】

推薦記事 赤倉功一郎 氏 JCHO 東京新宿メディカルセンター 泌尿器科 副院長・部長

Cancer and Leukemia Group B 90203 (Alliance): Radical Prostatectomy With or Without Neoadjuvant Chemohormonal Therapy in Localized, High-Risk Prostate Cancer

J Clin Oncol 2020年7月24日オンライン版

 局所進行性の高リスク前立腺がんにおいては、治癒の観点から、根治的前立腺全摘除術(RP:radical prostatectomy)のみでは不十分なことがしばしばある。そこで本試験〔Cancer and Leukemia Group B 90203(Alliance)〕では、局所進行性の高リスク前立腺がんを対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)とドセタキセルによる術前化学内分泌療法(CHT)を施行後にRPを行う有効性と安全性がRPのみを施行する群を対照に検証された。ドセタキセルは75mg/m2を3週毎に6サイクル投与した。
 主要評価項目は、3年生化学的無増悪生存率(BPFS)。副次評価項目は、5年BPFS、全BPFS、局所再発率、無転移生存率(MFS)、前立腺がん特異的死亡率、全生存率(OS)であった。
 生化学的障害は血清前立腺特異的抗原(PSA)値0.2ng/mL以上が少なくとも3週間以上の間隔を空けて2回以上増加を認めた場合と定義された。

 試験の結果、788例が登録。追跡期間中央値は6.1カ月だった。
 化学療法施行中の有害事象の発現率は、グレード3が26%、グレード4が19%だった。
 3年BPFSはCHT+RP群で89%、RP単独群で84%であり、両群に有意差は認められなかった(P=0.11)。
 一方、術前CHTの施行はRP単独に比べて、全BPFS〔ハザード比(HR)0.69、95%CI 0.48~0.99〕、MFS(HR 0.70、95%CI 0.51~0.95)、OS(HR 0.61、95%CI 0.40~0.94)の改善との関連を認めた。

■監修医師コメント
 高リスク前立腺がんの手術成績向上のために、ネオアジュバントホルモン療法の有用性を検討する比較試験が多数行なわれてきました。しかし、病理所見の改善は得られても長期治療成績は改善できませんでした。
 本研究は、ドセタキセルとホルモン療法を術前に行なうネオアジュバント化学ホルモン療法の有用性を検討した比較試験です。残念ながら主要評価項目である3年生化学的無再発生存率に有意差はありませんでした。しかし、いくつかの副次評価項目には改善傾向が見られており、今後のさらなる研究が期待されます。

(赤倉功一郎氏)

2020-08-07
Journal of Clinical Oncology